前回は、事業承継後の新体制を見据えた「幹部社員への後継者告知」の方法について取り上げました。今回は、事業の後継者の新体制づくりで重要な「経営方針」について見ていきます。

「事業承継」は会社を一新する好機

後継者の事業承継への意思を確認し、親族、幹部社員への告知を実施するという段階を経て、次には後継者による新体制づくりに取りかかることになります。そこではまず、新体制の骨子となる新たな経営方針を決定することが必要です。

 

新経営方針の決定とは、言い換えれば「後継者が事業を承継しやすい形を整えること」に他なりません。この経営方針が会社の今後10年、20年をつくっていくことになります。新経営方針を打ち出すにあたっては、現状の分析を行い、その結果を土台にすることが当然です。

 

事業承継は人事や不採算部門の継続の可否など、会社を一新する好機でもありますから、その機に際して同時にこの現状分析を慎重かつ精緻に行うべきです。そのためにも改めて会社全体の事業内容や経営状況について確認し、何よりも客観的に自社の事業を見つめ直す視点が不可欠となります。

データの分析は専門家の力を借りる

具体的な方法として、たとえば経営者と後継者のそれぞれが各項目について独自に分析を行い、簡単なレポートなどを作成した上で、それを持ち寄り、比較しながら検討していく方法などが効果的です。もっとも、そうは言われてもどこから着手すればよいか分からない、あるいは必要なデータが乏しいなどの理由から、自力での分析の段階からつまずいてしまうことはよくあることです。

 

実は、そんなときこそ専門家の力を借りることを考えるべきです。もちろん、事業承継が動き出した時点から専門的ノウハウによるサポートを利用していたとしても、この分析は改めて顧問の会計士や税理士に相談すべき内容といえます。

 

どこをどう分析していくのか、どういったデータを用いるべきか、分析をはじめるにあたってのレクチャーなどは、まさに専門家の力の見せ所です。また、場合によってはそのレクチャーの機会に、これは自ら行う分析、これは専門家に任せてしまう分析と作業の仕分けをすることもでき、負担軽減も可能なのです。

本連載は、2016年6月24日刊行の書籍『たった1年で会社をわが子に引き継ぐ方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

たった1年で会社を わが子に引き継ぐ方法

たった1年で会社を わが子に引き継ぐ方法

浅野 佳史

幻冬舎メディアコンサルティング

近年、日本の多くの中小企業が承継のタイミングを迎えています。承継にあたっては、親から子へと会社を引き継ぐパターンが多いのですが、親子間だからこそ起こるトラブルがあることを忘れてはいけません。 中小企業白書による…

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