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連載ビジネスに役立つ「アジア流交渉術」〜中国・インド編〜【第5回】

中国企業との交渉――実際に「相手と話す時」の留意点

アジア中国

中国企業との交渉――実際に「相手と話す時」の留意点

今回は、中国企業と実際に交渉する際のポイントを見ていきます。※本連載は、世界4カ国で20年もの経営経験をもつ平沢健一氏の著書『アジアビジネス成功への道』(産業能率大学出版部)の中から一部を抜粋し、中国・インドでの交渉術や、勝ち抜くためのノウハウを紹介します。

中国人は話し好き!? まずは相手を「主役」にする

今回は、中国企業と実際に交渉する際のポイントを見ておきます。

 

①相手から話させる

 

「他人はすべて敵である」という独特の相互不信社会が2000年も続いてきた中国では、相手を知ることが先決です。そもそも善悪の基準が日本とは全く違うわけですから、考え方が一致することなどあり得ないと思った方がよいでしょう。

 

日本人はこれまでのマスコミや教育のせいか、とかく中国人と自分たちが同文同種であると思ってしまいがちです。だからこそ、まず中国人から話してもらったらよいのです。

 

その出方に注意を払い、相手の話を聞き込み、相手を褒めたり、笑顔をふんだんに出しながらもおかしいことはしっかり指摘することです。その中で「個人とはぜひ良好な関係を築きたいし、あなたはまさにそういう人だ」と力説します。

 

中国に「通情達理(トンチンダリ)」と言うことわざがあります。人情と道理の両方にかなうことが正しいという意味で、「うまくいかない交渉事でも両者のメンツが保たれ、双方がうまくいく方法を粘り強く見つけ出せる」という意味と考えたらよいのです。

 

そのためにも相手から話させて、話し好きな中国人にまず主役を与え、その中で冷静に交渉の重要ポイントを自覚し、交渉の筋道を立てていくことが大切です。また交渉の初期には自分の考え方を多く話さないように自分をコントロールすることが必要です。

 

②原則論から入り、「責任、メンツ、関係、道理」で相手を見極める

 

まず、大ざっぱに原則論から入ることです。その中から相手の目線が見えてきますから、ここを中心に議論を開始しましょう。

 

ただ、この時点でいきなり論理的な説得や力を誇示した交渉に入ってはいけません。そうは言っても「理屈付け」は説得のポイントですから、最初はあえてきついことも言ってみましょう。すると相手が徐々に譲歩してくる場合があります。

 

この段階では、丁寧に相手側の自尊心を大いに持ち上げ、親身になってじっくり聞き、微妙な問題の裏側を探り(場合によっては証拠を取っておきます)、相手側の感情や性格を知ると交渉はうまく進みます。

 

あくまで距離を置いて状況をよく眺め、戦略的に考えて時期と方向が分かったら、「責任、メンツ、関係、道理」を総動員して相手の関心具合を見極めます。この中で、最初の「責任」が極めて重要です。

中国人と話す時は、心から相手に敬意を払う

中国の新華社の新華網ニュースの中に、日本企業で働いたことのある中国人ソフトウエア担当責任者が述べた以下の一節がありました。

 

「中国人は日本人のような職業精神、事業に対する一途な気持ちや素質を備えていない。我々は仕事や生活の中で、『だいたい良い』『まあまあ』『いいかげん』『いけるだろう』などのあいまいな言葉をよく使う。これは仕事に対する責任感がないためで、最終的に自分でも恥ずかしく感じるものをつくり出す」

 

責任について中国人と話す時は、心から相手に敬意を払って、思い切り誠意を見せることが大切です。傲慢さや癇癪は禁じ手で、自制心と忍耐が極めて効果的です。

 

最近の中国では「誠信経営」という言葉がよく使われています。我々も、誠実と信用=誠信と考え、こうした風潮が大いに拡大していくことを願って、困難な中国人との交渉のポイントと考えていくべきです。

 

また交渉相手が誇張して言ったり、間違いがあったら、細かくノートに記入しておきましょう。後で有効な対策になることがあります。相手があり得ないことを言ったら、はっきりストップをかけます。

 

さらに有効な情報を話しかけてきたら、悟られないように冷静に話を聞き続けましょう。さらに良い情報が期待できるかもしれません。

本連載は、2016年6月30日刊行の書籍『アジアビジネス成功への道』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

平沢 健一

株式会社トランスエージェント 会長
G&C(グローバル&チャイナ)ビジネスコンサルタント 代表
アジア立志塾 代表 

早稲田大学第一商学部卒業。15年間日本ビクターで国内営業、本社国内課長後、1982〜87年米国ニューヨーク駐在、テレビ初代マーケティング部長、ニューヨーク営業所長。88〜96年イタリアミラノ駐在、JVCイタリア初代社長。96〜98年英国ロンドン駐在、JVCヨーロッパ副社長、欧州副本部長。98〜2002年中国北京・上海に駐在、日本ビクター理事、JVC中国社長、会長。この間4ヵ国20年間海外現地法人経営。56ヵ国をビジネスで訪問。
現在、株式会社トランスエージェント会長、G&C(グローバル&チャイナ)ビジネスコンサルタント代表、(一財)海外職業訓練協会理事、(株)イチビキ特別顧問、NPO法人日本交渉協会特別顧問、北京金杜法律事務所顧問、日中関係学会理事、アジア立志塾代表。

著者紹介

連載ビジネスに役立つ「アジア流交渉術」〜中国・インド編〜

アジアビジネス成功への道

アジアビジネス成功への道

平沢 健一

産業能率大学出版部

アジアの14ヵ国で成功を収めた14人の経営者と、世界4カ国20年の経営経験をもつ筆者が、グローバルビジネスの中心となってきたアジアビジネスでの成功の秘訣を語る。アジアビジネスでの苦労や成功体験はもちろん、アジア各国で…

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