前回は、「社員の意見」を集めて問題点を抽出する方法を説明しました。今回は、経営改善のためには「腹をくくった判断」が必要とされる組織・人事改革について見ていきます。

経営者の意識改革のみでは経営改善は進まない

社員面談により、社員の考えや会社に対する意見が分かり、問題となる社員、期待できる社員が分かった段階で、「組織改革」の骨子を作成する。

 

全社の中心に誰を据えるか、営業の責任者・工事の責任者を誰にするか、場合によっては総務経理の責任者を代える必要もある。

 

また、組織の変更は一気にできるものでもない。よって、1年程度をめどにした骨子を作成した上で、徐々にその方向に持っていく人事が必要である。

 

会社が今までうまくいっていなかったということは、何か問題があるということだ。例えば、売上重視の姿勢であり、その結果の赤字受注もあっただろう。しかし、結局それを行ったのは人である。それは経営者かもしれないし、会社幹部や営業担当者かもしれない。

 

経営者の意識改革のみで会社がいい方向に向くケースも多少はあるだろうが、経営改善はそんなに甘くはない。

問題社員については、まずは部署の配置換えを行う

残念ながら、会社には必ず問題社員がいる。そしてその社員の何が一番問題かといえば、決して変わらないことである。そういった社員にいかに真剣に話をしても、説得しても変わらない人は決して変わらない。そして、そういった社員が他の社員の前向きな姿勢とやる気を削ぐのである。

 

私は顧問先の各社で人事の進言をすることが多い。経営者は私の判断に驚き、反論してくることもある。しかし、その人事を行った結果、会社が驚くほどうまく回りだしたのを見て、「ここが問題だったんだ」と初めて気付いてくれることが多い。

 

人事の部分での経営判断は、本当に重要である。経営者は長年連れ添った幹部であれ、過去の功労者であれ、売上の大部分をつくっている人であれ、現場管理がいかに優れている人であれ、腹を括って判断しなければならない。

 

社員面談で浮かび上がった問題社員は、まずは部署の配置換えなどを行う。すると、最終的に自分から辞めていくケースも多い。

 

逆に、年齢は若くてもしっかりした意見を持ち、会社のために貢献しようという意欲のある人材は思い切って抜擢する。

 

ある顧問先では、30人の営業担当者がいたが、他部門への異動や退職によって2年で営業社員の8割が入れ替わった。その結果、営業部門と工事部門の連携が良くなり、会社の利益も飛躍的に伸びた。

 

【図表 組織改革のポイント】

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