今回は、法人成りで「生命保険」の保険料を経費にする方法を見ていきます。本連載は、税理士法人ゼニックス・コンサルティングの税理士、関根俊輔氏の著書、『個人事業を会社にするメリット・デメリットがぜんぶわかる本』(新星出版社)の中から一部を抜粋し、個人事業を法人化したときの経費面のメリットについて説明します。

個人事業主の支払保険料は「経費」にならない

生命保険は、プライベートな意味合いが強いため、事業所得の経費とはみなされません。一方、会社は条件により、これを経費にできます。

 

事業の先行きに不安があったり、いざというときに家族を守るために、死亡保障を中心とした生命保険に加入されている個人事業主の方は多いかと思います。ところが、個人事業主に対する保険で、その保険金の受取人が親族の場合、残念ながらいくら支払っていても保険料は経費になりません。

 

たとえ、それが事業の借入金の残債を将来的にまかなうためだとか、跡継ぎの負担を少しでもラクにしたいからだとかいうような、大義があったとしても経費になりません。つまり、親族を受取人にする場合は、プライベートな支出として生命保険に入ることになるのです。

 

税法では、個人事業主の生命保険料は、最高12万円の生命保険料控除という所得控除しかないため、節税メリットのないコストだといえます。

 

また、万が一のとき、生命保険の死亡保険金は、相続税の課税の対象となりますから、入口も出口も慎重に判断しないと、後で思わぬ誤算を生むことになりかねません。

法人なら、保険の種類によっては保険料全額が経費に

これに対して、法人成りした場合、社長に対する保険は、契約者と受取人の両方を会社として生命保険に加入していれば、保険の種類によってはその保険料の全額を経費として扱うことができます。

 

あえて、おおざっぱにいうとすれば、定期保険の保険料のような、掛け捨ての部分が経費となります。

 

ところで、会社が死亡保険金を受け取ったら、個人には一銭も渡らないかというと、そうではありません。その保険金に相当するお金を、死亡退職金として遺族へ支給すればいいのです。ただし、この退職金の一部は個人の相続税の課税対象となります。

 

【図表 生命保険と経費の関係】

 

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    本連載は、2015年12月15日刊行の書籍『個人事業を会社にするメリット・デメリットがぜんぶわかる本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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