今回は、相続人間の権利調整を難しくする「2次相続」の問題について見ていきます。※本連載は、税理士・田中潤氏著『きっと今までになかった相続の権利調整を考える本』(メディアパル)から一部を抜粋し、相続を円滑に進める「権利調整」について、分かりやすく解説します。

2次相続では法定相続人が1人減っている!?

一般的な家族における相続の流れは父が亡くなり、その後母が亡くなって子に財産が継承される形です。

 

この場合、母が亡くなった時の相続を2次相続と言いますが、21世紀の今、このケースが年々増えてきています。男女の平均寿命もピークに達しつつあり、多くの高齢化した夫婦が相次いで亡くなっていく時代を迎えているのです。

 

2次相続のリスクは、沢山あります。まず、一つの家族の相続という観点でみると、法定相続人が1人減っているので基本的に相続税の課税が強化されることになります。しかも、1次相続では配偶者の税額軽減の特例を使って本来の税額の50%以上を繰り延べていた相続税が一気に持ち戻されます。

 

また、子が親の住んでいた住居(土地)に住み続けることが出来ない場合、小規模宅地の特例も使えません。相続税の改正により、この特例が使えないと納税額は大幅にアップされる可能性があります。

親の遺言で明確にしておきたい「相続の形」

しかし、最大のリスクは相続人の間の権利調整です。両親が亡くなったことで重しが取れて、子供同士の権利主張が表面化する可能性が高くなるのです。

 

結果的に、相続人の中で精神的ストレスが高じ、様々なトラブルが起きる元にもなりかねません。子供同士が、いかに相手のことを思いやることが出来るかが幸せな相続のポイントです。

 

そのためには、親は遺言を残して子供たちにどういう継承をしてほしいかを具体的に言葉で示し、それを実現するための相続の形を明確にしておきたいものです。

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