前回は、日本の住まいが「結露」に悩まされる理由について説明しました。今回は、結露が発生しない快適な室内作りについて見ていきます。

「24時間換気システム」が強制された背景

ところで、エアコンによる暖房に比べ、ガスストーブや石油ストーブが暖かいと感じたことはありませんか。これら開放型暖房機器は

 

①直火による輻射熱の影響

②燃焼時に生じる水分が湿度を高めること

 

が相まって体感温度を高めています。しかし開放型暖房機器の利用は多くのマンションで禁じられています。

 

火災の危険性や燃焼ガスによる室内空気の汚染、ガスや石油等の臭いが禁止の理由として挙げられますが、もう一つの理由は結露をしやすい暖房機器だからではないでしょうか。

 

過乾燥は目に見えないが、目に見える結露は避けたい。それが新建材を供給する側のもくろみではないか。自然素材を使い続けてきた結果、そう考えるようになってきました。

 

また結露を換気不足の仕業にしているのも責任転嫁が過ぎると思います。24時間換気システムが強制された背景には、湿気だけではなく建材から発生する化学物質を適切に排出する意味合いも折り込まれています。しかし、冬の常時換気は寒くてあまり快適とはいえません。

「吸放湿量が適切」であれば結露が生じることはない!?

輻射(注※中央の一点から周囲に射出すること)による暖房であれば、周辺の壁・床・天井を温めていますので、1時間に1度くらい空気を入れ換えても、窓を閉めればまたすぐに暖かくなります。しかし空気を暖めるエアコンは、空気を入れ換えてしまえば、それまでの暖房を台無しにします。

 

それゆえ、こちらもまた24時間換気システムという、気がつかれにくい少量換気で問題を顕在化させないようにしているのではないかと疑ってしまいます。

 

室内の吸放湿量が適切にあれば、これら開放型暖房機器を使用しても著しい結露が生じることはありません。むしろほんとうに大切なことは、窓を開ければ十分な風通しが得られる間取りを、できるだけ自然素材でつくることだと思うのです。

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    本連載は、2014年3月20日刊行の書籍『なぜ新築マンションには自然素材が使われないのか』から抜粋したものです。その後の法制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    なぜ新築マンションには自然素材が使われないのか

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    鈴木 雄二

    幻冬舎メディアコンサルティング

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