なぜ特徴のない、普通のマンションが建てられ続けるのか?

建設会社の営業マンの話に流されていると、「物件の実力」がないマンションが建つことになります。オーナー自身の目で賃貸市場の現実と将来を認識しましょう。

儲けたい会社がある限り普通のマンションは増え続ける

従来の土俵の上でしか闘えない普通の賃貸マンションが、将来的に苦戦を強いられることは明白です。それにもかかわらず、日本中で何の特徴もない新築マンションが、今も次々と建てられているのはなぜでしょうか?

 

その答えは意外なほど単純です。「新築物件を建て続けないと、建設会社が儲からないから」という答え以外は見つかりません。

 

建設会社は自分たちが存続するために営業マンを雇い、不動産オーナーの方たちを口説きながら、マンションを建て続けます。それにしても、土地を持っている人たちはなぜ、将来的に経営が苦しくなるような特徴のないアパートやマンションをみすみす建ててしまうのでしょうか?

「相続税対策」というセールストークに騙されない

すでに述べたように、建設会社は建てることが仕事です。建築工事の受注を取るために、営業マンたちはなんとかオーナーの心に入り込もうとします。その手段のひとつが、「アパートを建てることで相続税が減らせる」というセールストークを武器にした行脚です。

 

最初は自分には関係ないと興味を示さなかったオーナーも、お土産を片手に何度も通ってくる営業マンから相続税についての話を聞くうちに、「よくわからないけど、相続税は他人事ではないから、一度きちんと聞いておこうかな。CMでよく見る会社だし、あの人、いい人そうだし・・・」と興味を持ち始めることになります。

 

あとは、毎月年金代わりのキャッシュフローが得られることや、建てたマンションに身内を住まわせられればお互いに助かるなど、様々なプラス要素をオーナーがハンコを押してくれるまで、繰り返し繰り返し提示していきます。

 

また、「もしお客さんが入らずに、万が一建築費のローンが払えなくなったら困る」という当然の不安をオーナーが示せば、過去の稼働実績がずらりと並んだ書類を広げて、この投資がいかに安全であるかという根拠を、トクトクと語ります。

 

その稼働実績はウソではありません。しかし、彼らが見せるデータには、高度経済成長時代から続いてきた「建てれば埋まる時代」の実績が多く含まれています。それらは、いうまでもなく、これから人口が減ってマーケットが尻すぼみになっていく中で実現可能なものではありません。しかし、その実績を見て安心し、結局は何の特徴もないアパートやマンションを建てることになるオーナーも多いのが現実です。

サブリース会社の保証がいつまで続くかはわからない

中には、サブリース(家賃保証)を切り札に、契約を迫る建設会社もあります。サブリースとは、満室時の8~9割分の家賃を支払うことをサブリース会社が保証し、入居者がいてもいなくても、約束の金額を必ずオーナーに支払うシステムです。

 

一見、オーナーにとって「安心感のある」システムのように見えます。しかし私は、そのシステムを信じてアパートを建てようとするオーナーたちに、立ち止まって現実を見てほしいと思います。これからの時代、サブリースがあるから安心と考えることは危険です。入居者がゼロなら1円も入らないのに、「確実に8~9割を保証しますから安心ですよ」といって彼らは営業します。

 

しかし、冷静に考えてみると、そんなやり方でサブリース会社が長期間やっていくことができるのか、非常に疑問が残ります。「空室リスクは全部こちらで背負います」といいますが、リスクが現実となれば、その会社は傷むのです。傷むということは、長続きしないということです。「もし委託しているサブリース会社が倒産したとしても、また他の業者にサブリースを委託すればいい」と安易に考える方もいるかもしれませんが、差別化されないやり方をしている同業者は、同様に傷んでいる可能性が高いと考えた方が適切でしょう。

 

将来的に需給バランスが崩れていくことは目に見えているのですから、サブリース会社はそう遠くないうちに、経営が苦しくなり、オーナーに対して保証賃料の値下げや、契約見直しを切り出してくるでしょう。

 

そして、サブリースというぬるま湯につかりきって経営をまかせきりにしているオーナーは、サブリース会社がつぶれて自分のマンション経営に支障があっては困るので、出された条件を仕方なく飲むことになるはずです。そうなって初めて、オーナー側は当初約束していた「満室時の8~9割の家賃保証」には、何の意味もなかったことを知るのです。

賃貸経営で成功するには経済の基本に戻ること

オーナーの中には、サブリース会社から契約の見直しを迫られたとき、「建設会社に騙された」と怒る人も出てくるかもしれません。しかし、建設会社側には「騙してやろう」とか「悪いことをしている」という自覚はないはずです。

 

もちろん、彼らは賃貸経営の将来的なリスクはわかった上で特徴のないアパートやマンションを建て、サブリースをすすめています。企業というのは一般的に、尻すぼみになりそうなビジネスモデルを最後まで稼働させながら、将来につながる別のビジネスモデルを徐々に離陸させるという大きな流れの中で仕事を作るものであり、別に、オーナーを騙そうというような意識はないのです。

 

それに、経営のトップは、尻すぼみの商品であっても「うちの商品には社会性がある。社会に貢献している」と過去の実績を裏づけにして必ずいいますし、実際にそれを信じています。だからこそ、命をかけて仕事ができるのです。

 

不動産オーナーに意識してほしいのは、建設会社やハウスメーカーのそのような立場を理解した上で、彼らの話を聞き、自分自身の価値観によって判断することが必要だということです。賃貸経営で成功するためには、経済の基本に戻るのが一番です。経済の基本とは、需給バランスが保たれ、適正な家賃を得られる状態を作るということです。

 

残念ながら普通の賃貸マンションは、すでに需給バランスが崩れています。そのためマンションの経営についても、「自分の親がうまくいっていたから、同じようにうまくいく」などという考えは、間違っても通用しません。将来、後悔しないためには、自分自身の目で、現在とこれからの賃貸市場の現実を認識することが重要です。

本連載は、2011年2月28日刊行の書籍『近隣物件よりも高い賃料で長く儲ける満室賃貸革命』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載近隣物件よりも高い賃料で長く儲けるマンション経営術

株式会社リブラン 代表取締役

1967年、東京生まれ。株式会社大京にて分譲マンション事業用地の仕入を担当。その後、1992年、株式会社リブランへ入社し、2002年、同社代表取締役に就任する。マーケットシェアを奪い合う分譲マンション業界で、同業他社とは同じ土俵で勝負しない経営スタイルを堅持。24時間、音楽漬けを可能とするマンション「ミュージション」の分譲、賃貸事業を行い、新たなマーケットの創造を行う。

著者紹介

満室賃貸革命

満室賃貸革命

鈴木 雄二

幻冬舎メディアコンサルティング

今後50年余りで、日本の人口は約9000万人にまで減少すると予想されています。これは、現在の人口から約3割もの人がいなくなる計算です。そのような将来が予想される中、今でも賃貸マンションは次々と建ち続け、オーナーさんは…

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