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連載老後の財産管理に有用な「死後事務委任契約」「遺言」の活用術【第17回】

なぜ老後を見据えた「リビングウィルノート」が必要なのか?

老後の生活

なぜ老後を見据えた「リビングウィルノート」が必要なのか?

前回は、自分らしく生きるための意思を記す「リビングウィルノート」の作成を見てきました。今回は、「リビングウィルノート」が必要な理由を説明します。

「自分のことを自分で決められなくなる」恐ろしさ

私がリビングウィルノートの必要性を感じるようになったのは、加齢によって認知能力が不十分になった人や認知症を発症した人が、財産管理も含めた生活面で、次第に危機的状況に晒されていく様子を見聞きする機会が増えてからのことです。

 

自分にとって憧れであり理想だった立派な人たちが、高齢になって認知能力が衰えたり認知症を発症したりして、以前とは全く異なった環境に置かれる姿を見るのは非常に切なく、わが身に置き換えたとき、はたと考え込んでしまいました。

 

現在、私は40代前半です。例えば65歳くらいまで仕事を一生懸命続けたとしたら、ある程度の財産をつくることができるかもしれません。

 

そのとき私はどうなっているでしょうか。知力は多少衰えたとしても、それなりの判断能力が残っていたとしたら、自分でそのお金をどう使うか、あるいはどのように運用するかを決めることができるでしょう。

 

65歳くらいだと、まだ元気でいられる可能性が高いかもしれません。しかし、そこからさらに10年後、75歳になったときはどうでしょうか。

 

認知能力が低下している可能性はかなり高くなるでしょう。もしかしたら認知症を発症して、自分ではどのような判断もできなくなっているかもしれません。そう考えると、恐ろしくなりました。

 

認知能力を失うということは、自分のことを自分で決められなくなるということです。自分以外の人によって、自分が生涯かけて築いた財産の使い途が決められたり、衣食住の全てを決められたりするということです。

 

「そんなことには耐えられない! 冗談じゃない!」と思いませんか?

「10年後の自分」の生活を守るのは「今の自分」

認知能力を失ったとしても、自分が他の見知らぬ誰かになるわけではありません。たとえ自分では判断ができなくなり、他の人との会話がかみ合わなくなったとしても、これまで人生のさまざまな場面で、いろいろな人に大切にされ尊重されてきたように、自分の存在を認めてほしい、これまでと同じように扱ってほしいと願うことでしょう。

 

そして、一生懸命働いてつくった財産を、自分のために活用したいと思うことでしょう。

 

自分以外の人は、「もう自分たちのことも誰か分からないくらいになっているのだから、どんな生活になろうと同じでしょ。だったら、お金がかからない方がいいじゃない」と思うかもしれませんが、本人にとってはそんなものではないはずです。

 

例えば、どのような介護施設に入るかということについて。経済的に恵まれてきた人であれば、月額の入居費が安いということを基準に選ぼうとは思わないでしょう。たとえ月々支払う金額は高額になっても、居心地がよく、自分を丁寧に扱ってくれる施設に入りたいと願うものでしょう。

 

必要な栄養を満たすだけの味気ない食事ではなく、おいしいものを食べ、自分の好みに合った服を着て、寝心地のいい布団や枕を使って寝たいと願うものなのではないでしょうか。それが「人間としての尊厳を守る」ということなのではないかと、私は思います。

 

そのための準備は、事前にしておかなくてはいけません。認知能力が低下してしまったら、自分の老後を自分で設計することはほぼ不可能になってしまいます。

 

10年後の自分に対して、今、10年若い自分が心地いいと感じることを用意周到に準備しておくことが、自分らしく生き抜くことにつながるのです。

 

自分にとっての心地よさは、自分にしか分かりません。だからこそ、リビングウィルノートを作り、自分の希望をできるだけ細かく書いておくことが必要なのです。

 

これを作ることで、自分が本当はどういう生き方をしたいのかが、自分にとっても明確になることでしょう。

本連載は、2015年11月25日刊行の書籍『老後の財産は「任意後見」で守りなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

眞鍋 淳也

南青山 M’s 法律会計事務所 代表社員 弁護士/公認会計士

弁護士・公認会計士。南青山M’s法律会計事務所代表。芦屋大学経営教育学部客員教授。
1973年愛媛県生まれ。1995年一橋大学経済学部卒業。2006年成蹊大学にて法務博士号取得。1995年監査法人トーマツ(現 有限責任監査法人トーマツ)入社、上場企業の監査、M&A等に携わる。その後、会計事務所、法律事務所勤務等を経て2009年に南青山M’s法律会計事務所を設立。個人、企業にとって身近な法律問題はもちろん、税務問題、会計問題、それらが絡み合う複雑な問題についても、冷静に問題を分析し、依頼者にとって最も利益となる問題の解決方法を提案、実践している。著書に『ドロ沼相続の出口』(幻冬舎)。

著者紹介

連載老後の財産管理に有用な「死後事務委任契約」「遺言」の活用術

老後の財産は 「任意後見」で守りなさい

老後の財産は 「任意後見」で守りなさい

眞鍋 淳也

幻冬舎メディアコンサルティング

昨今、高齢者を狙った詐欺や「争続」が新聞やテレビなどのメディアで盛んに取り沙汰され、老後の財産管理に対する不安が高まっています。高齢になると判断能力が低下してしまい、望まないかたちで財産を失ってしまうケースは多…

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