手術中心治療からの変化――「がんの外科的治療」の現状

本連載は、生命保険の専門家であり、自身も医師として活躍する佐々木光信氏の著書、『比較検証、がん保険 』(保険毎日新聞社)の中から一部を抜粋し、近年長足の進歩を遂げている「がん医療」の種類と変遷を紹介します。

「苦しくない治療」にシフトしつつあるがん治療

がん関連学会で外科治療の専門家が以下のとおり外科治療の変遷を紹介しています。

 

①治療成績向上の時代から非侵襲的治療の時代へ

 

外科的治療の代表は、手術です。固形がんの治療と言えば、以前は手術が主役でした。根治性を追求して手術の範囲、技量の改善・最適化が研究されていましたが、治療成績の向上の段階を経て治療後の生活の質を確保できるように非侵襲的(痛くない治療、苦しくない治療)あるいは機能温存手術へ、大きく方向性が変わってきています(図表1)。

 

[図表1]外科的治療法の変化

 

「内視鏡手術」や、「腹腔鏡・胸腔鏡」といった「鏡視下手術」が盛んになり、医用工学を応用したロボット支援手術も導入されるようになりました(図表2)。

 

[図表2]治療の多様化、非侵襲的治療

すぐさま手術ではなく、症状に合わせた治療に変化

②非侵襲的治療から集学的な個別化医療の時代へ

 

一方、最近の放射線治療の進歩や新規抗がん剤の登場で、手術単独治療から放射線治療や抗がん剤治療を合わせた集学的治療(図表3)が、各部位の治療に導入されてきています。

 

[図表3]集学的治療

 

比較的小さな腫瘍であれば、外科的切除がいまだに主役ですが、切除した腫瘍の遺伝子検査により転移再発の確率を検査して、リスクが高ければ抗がん剤を使用するという複合的な治療が乳癌などで行われるようになっています。

 

すなわち、これまでの部位と悪性新生物の進行度(ステージ別)による治療から個別的な治療へ、治療方法が変化しつつあります。

 

③多様な治療方法

 

肝臓がんに対する「肝臓動脈塞栓術」などの「血管内手術」や「ラジオ波凝固術」等、治療法の手技も多様化しています。

株式会社保険医学総合研究所 代表取締役社長

慶応義塾大学医学部卒後、膀胱癌研究で学位取得、三四会賞受賞。
医療機関勤務を経て、千代田生命保険相互会社医事調査課長、医務部長。2001年アメリカンファミリー生命保険会社で医務部部長、チーフメディカルディレクターを経て独立、現職。
保険医学を中心とした危険選択(保険引受、保険支払)実務、商品開発実務に30年以上従事、FPへの情報提供や保険医学・営業教育に関する講演活動を行う。
医学の進歩と生命保険の関係や医療介護保険制度と民間保険を中心に研究活動に取り組み、この分野の論文など研究成果多数。保険にテレビ電話を使用した危険選択手法を導入、経済誌フィナンシャルタイムスやNHKクローズアップ現代などで取り上げられる。
日本保険医学会評議員、生命保険協会医務部会委員など歴任、現在インシュアランス誌論説委員。
医師、医学博士、介護支援専門員資格、日本保険医学会認定医、日本医師会認定産業医資格で、所属学会は、日本癌治療学会、日本泌尿器科学会、日本保険学会、日本保険医学会、日本生命倫理学会等。

著者紹介

連載保険加入前に知っておきたい「がん治療」の基礎知識

比較検証、がん保険

比較検証、がん保険

佐々木 光信

保険毎日新聞社

生命保険の専門家である著者が、近年長足の進歩を遂げている「がん医療」に保険会社はいかに対応しているのか、そして今後のがん医療はどう変化していくのかを解説しながら、現代のがん保険需要にマッチした主要保険会社のがん…

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