今回は、賃貸物件でAirbnbを行う際、配慮すべき「近隣住民」への対応について見ていきます。※本連載は、Airbnb総合研究会代表、阿部ヨシカズ氏の著書『インターネット民泊仲介サービスAirbnb入門ガイド』(ソシム)の中から一部を抜粋し、Airbnbを始める際に知っておきたい法律面・契約面のポイントや、想定されるトラブルの解決法などを紹介します。

近隣住民のクレームを受けやすい「騒音」「ゴミ」問題

ホストとして活動を続けるために、忘れてはならないのが近隣住民との関係です。近隣住民からクレームが来ないような配慮が必要になります。具体的にクレームになりやすいのは、騒音とゴミの問題です。

 

旅行者は通常、キャスターの付いた大きなスーツケースを引いて移動します。同じ物件に宿泊するゲストが多くなれば、キャスターの転がる音だけでもかなりの騒音になります。特に、LCCは深夜や早朝の便が多いため、チェックインやチェックアウトの時間帯が深夜や早朝になりがちです。近隣住民に配慮して、チェックインできる時間帯を制限しているホストもいます。外国語の会話が聞こえてくると、音量はそれほど大きくなくても気になる人もいるでしょう。

 

ゴミについては、空港でも大きな問題になりつつあります。特に、ショッピングを主目的に訪日したゲストの場合、商品をできるだけスーツケースに詰め込むために、ダンボールなどの包装ゴミが大量に発生する可能性があります。ゲストが、大量のゴミを勝手にゴミ置き場に捨ててしまうとすぐに目立ちますので、発生したゴミをどうするかについてもルールを決めておく必要があります。

 

騒音やゴミなどのクレームは、賃貸マンションであれば大家さんや管理会社に、分譲住宅であれば管理組合に、一戸建ての住宅であれば町内会や自治会に寄せられます。クレームが増えると、Airbnbでの貸し出しを認めていた大家さんが貸し出しを禁止するなど、ホストの活動に支障が出る可能性があります。

 

マンションの場合は、共有スペース利用についてのルールにも注意しましょう。分譲マンションでは、住民だけが利用できるプールやエントランスのソファーなどが付いている物件もあります。マンション内で大騒ぎするのは論外ですが、共有施設やスペースについても、どこまで使用を許可するかは事前にゲストに伝えておく必要があります。予約受付後に送信する案内メールの中で、詳しいハウスルールを記載しておくといいでしょう。

旅行者の「民家」への宿泊に不安を感じる住民は多い

東京都大田区が民泊をビジネスとして認めることになったことは第2回で触れましたが、承認の条件として、事前に近隣住民に事業内容を説明することが義務づけられる見込みです。

 

これは事業として行う場合の話ですが、そのような条件が付くということは、民間の住宅に外国人旅行者を宿泊させることについて、不安に感じる住民が少なくないということに他なりません。近隣住民への配慮は必須といえます。

 

しかしながら、どこまでを近隣住民と定義するかについては意見が分かれそうです。物件がマンションの場合は、同じマンションに居住する住民を対象にするという考え方もありますが、一戸建ての場合は、近隣の範囲はケース・バイ・ケースで決めるしかないでしょう。

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    本連載は、2016年1月12日刊行の書籍『インターネット民泊仲介サービスAirbnb入門ガイド』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    インターネット民泊仲介サービスAirbnb入門ガイド

    インターネット民泊仲介サービスAirbnb入門ガイド

    阿部 ヨシカズ

    ソシム

    Airbnb(エアビーアンドビー)は主に海外からの旅行客に対し民泊の仲介を行うサービスで、日本でも急速に利用者を伸ばしています。 本書では、Airbnbしくみと現状の使われ方、副業としての可能性などのほか、旅館業法などの法…

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