その他 教育
連載より豊かに、より賢く――わが子のための「お金の教養」講座【最終回】

なぜ日本の家庭では「お金教育」が抜け落ちているのか?

お金の教養

なぜ日本の家庭では「お金教育」が抜け落ちているのか?

今回は、「お金の教養」が抜け落ちている、日本の家庭教育の実情について見ていきます。※本連載は、「富のスペシャリスト」として知られる株式会社スガシタパートナーズの代表取締役・菅下清廣氏の著書、『一生お金に困らない子どもを育てる45のルール』(PHP研究所)の中から一部を抜粋し、自分の子どもに、より豊かに、賢く生きてもらうための「お金の話」を紹介していきます。

「自分でお金を生み出す」という体験は貴重

周囲を見渡してみると、日本の子どもたちは、本当にお金と縁遠い環境で育っているなと思います。親の保護下にある間に、お金に触れる機会がはたしてどれくらいあるでしょうか。「お店屋さんごっこ」のオモチャのお金では、話になりません。「ごっこ遊び」もしないよりはいいかもしれませんが、せっかくなら、早いうちから「本物のお金」に触れさせてあげてほしいと思います。

 

その点、アメリカの子どもたちは、もっとお金と親密です。たとえば、お小遣いが報酬制であるという家庭の話は、よく聞きます。ゴミ出しをしたら何ドル、ベッドメイキングをしたら何ドル、ママの料理を手伝ったら何ドル、といったお小遣いの支給方法が、ごく普通の一般家庭でも行なわれています。

 

ガレージセールで、年端もいかない子どもがレモネードやホットドッグを売っている風景も日常茶飯事です。10代になりたてくらいの女の子が、近所の奥さんがちょっと出かける間にベビーシッターをして数ドルの報酬を得る、といった話もよく聞きます。日本では、アルバイトは高校生からとほぼ決まっていますが、アメリカの子どもたちは、こうして幼いころから「自分でお金を稼ぐ」という体験をしているのです。

 

ほんの数ドルであっても、「自分でお金を生み出す」という体験は貴重です。家庭やご近所さんという小さな「社会」にかかわることで、お金のやりとりが生まれる。この感覚は、将来、自分がもっと大きな社会にかかわることでお金を稼ぎ、自活していくということを、リアルに想像する源になります。

 

また、そのわずかなお金を、使うのか、貯めるのか、はたまたそれを何かの元手とするのか。それを考えることで、ごく自然に、お金を生む、貯める、殖やすという発想も生まれます。こうしてアメリカの子どもたちは、日本の子どもたちよりずっと早くから投資マインドが育ちやすい環境にあるのです。

 

日本では、お手伝いに報酬をつけることに賛否両論あるようですが、私は、とてもいい教育だと考えます。自分の行動、もっといえば「貢献」によってお金が生まれるという体験は、ごく初歩的なお金の教養になるからです。「お金は降ってくるものではない」ということを子どものころから理解しておくのは、大切なことです。

 

といっても、日本では月々、決まったお小遣いをあげることが一般的ですから、いきなりお小遣いを報酬制にするのは難しいかもしれません。であれば、やはりまずは、日常の会話のはしばしに、「お金」というテーマを織り交ぜていくといいでしょう。

まずは親がお金の教養を身につける

そこで問題となるのは親の教養ですが、それ以前に問わねばならないのは、働く親がどれくらい子どもと接しているか、ということです。

 

たとえば、銀行や証券会社など、金融ビジネス系の仕事をしている親ならば、かなりのお金の教養が備わっているはずです。ところが、朝早く出かけて夜遅くに帰ってくる毎日で、一番よく見るのは子どもの寝顔・・・なんて生活では、せっかくの知識や体験を子どもに伝えることができません。

 

実際、大手の証券会社に勤めているけれど、子どもとはいっさい、お金の話をしたことがない、という話はよく耳にします。子どものほうは親の仕事の話を聞いたことがないから、関心を持たない。当然、お金の教養が身につくはずもなく、親がくれたお金を、ただただ消費に回すのみ・・・。

 

せっかく親に豊富な知識と体験があるというのに、教育に生かしていないとは、なんともったいないことでしょう。もし、この親が週に一度でも早く帰ってきて、子どもとテーブルを囲みながら自分の仕事の話をしていたら、それだけでも、子どもはお金の教養をぐんぐん身につけていくに違いありません。いわんや、自分にはお金の教養がないと感じている親であれば・・・厳しいことをいうようですが、よりいっそう意識を改め、家庭教育にあたらねばなりませんね。

 

子どもの幸せのために、まず親がお金の教養を身につけること。と同時に、そもそも働いている親は、どれくらい家庭教育にかかわっているのか。

 

こと「家庭」と「仕事」、「子育てする親」と「働く親」を分けて考えがちな日本の風潮のなかでは、こんな原点から問いなおさなければいけないのかもしれません。お金の教養を身につけるというのは、いってみれば、親子でスイミングスクールに通うようなものです。

 

子どもに教えるために、親が少しリードしておく必要はありますが、子どもと接する時間をもっと増やして一緒に体験し、うまくできるようになっていけばいい。そんな意識で、お金の教育を始めていただければと思います。

菅下 清廣

スガシタパートナーズ株式会社 代表取締役社長

国際金融コンサルタント、投資家、立命館アジア太平洋大学学長特別顧問。
ウォール街での経験を生かした独自の着眼点、オリジナルの「波動理論」でイベント・相場を先読みし、 日本と世界経済の未来を次々と的中させてきた「富のスペシャリスト」として名を馳せ、「経済の千里眼」の異名も持つ。
経験と人脈と知識に裏打ちされた首尾一貫した主張にファンも多く、政財界はじめ各界に多くの信奉者を持っている。
著書に『今こそ「お金の教養」を身につけなさい』(PHP研究所)、 『新しいお金の流れに乗りなさい』(徳間書店)、『資産はこの「黄金株」で殖やしなさい!』(実務教育出版)など多数。

著者紹介

連載より豊かに、より賢く――わが子のための「お金の教養」講座

 一生お金に困らない子どもを育てる45のルール

一生お金に困らない子どもを育てる45のルール

菅下 清廣

PHP研究所

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