前回は、一定の手数料が徴収される「投資信託」の基本的な仕組みについて取り上げました。今回は、外貨預金の仕組みについて見ていきます。

金利は魅力的に見えるが、為替手数料を差し引くと…

国内の預金が超低金利であることから、外貨預金に興味を持つ人もいますが、おすすめはできません。その大きな理由はコストが高いからです。たしかに、円預金に比べると金利は高めですが、多少の利息は為替変動によって吹き飛んでしまいます。その上、コストが高いのですから、損失を被る可能性が高くなります。

 

外貨預金のコストとは、為替手数料と呼ばれるものです。外貨預金にお金を預ける場合、円を外貨に換えます。また、預けたお金を引き出すときには、外貨を円に戻します。これを外貨交換といいます。海外旅行に行くときに外貨両替をしますが、これも同じです。

 

この外貨交換のときに為替手数料がかかるのです。たとえば、円から外貨、さらに外貨から円に交換をすると、ドルの場合で1ドル当たり2円のコストがかかるケースもあります。仮に100万円分を運用するとなると、1万8000円ほどがコストとなります(1ドル=110円)。

 

運用資金の1.8%ほどになる計算ですが、これはまだ安いほうです。為替手数料は通貨によって異なり、取引の少ない通貨ほど手数料率は高くなります。

 

たとえば、豪ドルの場合であれば、1豪ドル当たり4円かかる銀行もあります。100万円を運用する場合、為替手数料は約4万7000円となります。手数料率にすると4.7%です。豪ドルは他の通貨に比べて金利が高いのが人気の理由ですが、現在の金利は1年定期で1%程度です。これでは、為替手数料分を取り戻すだけでも5年ほどかかってしまいます。

非常に難しい為替相場の動向予測

しかも、為替相場が円高方向に進めば為替差損も発生します。為替相場がどちらに動くのかを予測するのは簡単ではありません。プロでも当たる確率は5割程度ともいいます。

 

個人投資家は情報量も少ないですから、為替相場の動向を判断するのは難しいと言わざるを得ません。

 

外貨預金をするくらいなら、手数料の安いFXを利用したほうがまだよいかもしれません。FXの場合は為替手数料が数銭で済み、コストは気にならないほどです。しかし、FXはハイリスク・ハイリターンの商品ですから、堅実な資産運用には向いていません。

 

【図表】外貨預金の金利例

注)メガバンクの例、2016年3月20日現在
注)メガバンクの例、2016年3月20日現在

本連載は、2016年5月20日刊行の書籍『30歳から定年までで2億円つくるほったらかし資産運用術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。本書に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本書の内容は著者の個人的な見解を解説したものであり、著者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本書の情報を利用した結果による損害、損失についても、幻冬舎グループ、著者並びに本書制作関係者は一切の責任を負いません。投資のご判断はご自身の責任でお願いいたします。

30歳から定年までで2億円つくる ほったらかし資産運用術

30歳から定年までで2億円つくる ほったらかし資産運用術

宮園 泰人

幻冬舎メディアコンサルティング

年収減少、増税、年金不安・・・サラリーマンの老後はどん底貧乏間違いなし!! 「下流老人」「老後破産」・・・サラリーマンの多くが、老後の生活に不安を抱えています。定年後の安定した生活には最低1億円、ゆとりのある生…

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