前回は、不動産の売却時に必要な書類と売却までの流れについて説明しました。今回は、物件を売却する「価格」と「タイミング」を見極める方法について見ていきます。

ポータルサイトの簡易査定は参考程度に

物件の売却価格は基本的に売主が決めるものですが、何の根拠もなく適当につけるものではありません。立地、築年数、物件の規模、建物の管理状態、間取り、内装・・・またオーナーチェンジ物件であれば、現状、いくらの家賃でどんな人が借りているのかといった情報を複合的に捉え、判断していくものです。

 

自分の所有するマンションがいくらで売れるのか、不動産仲介業者に調べてもらうことも可能です。それを「価格査定」と言い、最近は不動産投資専門のポータルサイトで簡単に査定額を調べることもできるようになってきています。

 

その価格の基準となっているのは、国土交通大臣が指定する不動産流通機構「レインズ」の販売データベースです。このデータベースは、本来、一般人向けではなく、プロの不動産業者のためのものです。専任媒介契約、専属媒介契約を結んだ際は、物件の情報が掲載される仕組みになっています。

 

そこには、売却に関する情報だけでなく、成約事例についても記載されます。すなわち「いくらで売れたのか」までわかるため、実際の売買価格まで把握できるのです。ところがレインズには、ワンルームマンションの成約事例があまり掲載されていません。

 

ですから、こういったポータルサイトでの簡易査定については、あくまで参考程度に捉えるのが良いでしょう。WEB上で公開されているような価格査定は、大半が不動産会社の集客ツールなのです。実際のところ、信頼できる売買仲介会社に相談するのが、最良の選択と言えます。

好条件で売れるポイントは「入居付け」

売却を決めたタイミングで、入居者が住んでいる状態であれば、そのままオーナーチェンジ物件として売却します。これが、手間もコストもかからない、理想的なケースです。

 

問題なのは、入居者がいない空室のケースです。これがファミリータイプの物件であれば、投資用ではなくマイホームとして購入される場合も多いので、空室のほうが売りやすくなります。しかしワンルームに関して言えば、原則、空室の状態で売るのはNGです。必ず入居者を付けることが、好条件で売れるポイントです。買主にとってみれば、購入した当日から日割り家賃が入ってくるわけですから、心理的にも金銭的にも、安心感が違うのです。

 

空室のワンルームは売れにくく、かつ安く買い叩かれやすいのが実情です。売却を行うのであれば、必ず入居者を付けること。これが鉄則です。

 

入居者募集をする際は、内装に少し手を加えること。こうして賃料設定を上げることができれば、利回りを高くすることができます。

 

たとえ1000円でも、高い家賃で入居者に借りてもらうことが重要なのです。リフォームに加えて、家賃を下げずに入居者を付けるためのノウハウとしては、敷金・礼金をゼロにして入居者の初期費用負担を減らしたり、賃貸仲介会社への広告料を2カ月分にして入居付けを頑張ってもらう、といったことが挙げられます。

 

所有物件にサブリース契約が付いている場合は、サブリース契約を外して集金代行に変えましょう。まれに保証家賃8万5000円にもかかわらず、実際の貸し出し家賃が8万円といったような、逆ザヤのケースもあります。その場合でも売却前提であれば、サブリースのままにすることはお勧めできません。

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    本連載は、2016年8月13日刊行の書籍『その区分マンションは今すぐ売りなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    渡邊 勢月矢

    幻冬舎メディアコンサルティング

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