前回は、メンテナンス費用の面から見る工場・倉庫投資の優位性を説明しました。今回は、工場・倉庫投資なら物件の「建て替え費用」も大幅に安くなる理由を見ていきます。

階数の少なさと素材面から、安く解体することが可能

メンテナンスの費用がかからないとはいえ、不動産投資では物件の建て替えが必要になることもあります。建て替えというと、「まず既存建物の解体のために多額のお金が必要になるのでは」と不安に思うかもしれません。

 

しかし、工場・倉庫は、解体費用に関しても、マンションの場合に比べてははるかに安く抑えられます。たとえば、構造別の解体費用単価をまとめたデータ(中央値)を見ると、倉庫で最も一般的な構造となっている鉄骨造(S造)は1平方メートルあたり1万0900円となっています。

 

 

一方、マンションで一般的な構造である鉄筋コンクリート(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)はそれぞれ1万3800円、1万8300円であり、倉庫よりも2000円~7000円も高くなっています。

 

工場・倉庫とマンションの解体費用の金額にこれほどの大きな差が出るのは、以下のような理由からです。

 

①工場・倉庫は平屋か2階建てが一般的なのに対して、マンションは階数がそれ以上のものが多く、人件費等のコストがよりかかる。

 

②最も一般的な鉄骨製の工場・倉庫は、解体した結果生じた鉄くずを業者に買い取ってもらえる。その分、解体費が安くあがることになる(ちなみに、木造アパートの場合は解体後、木材をチップ状にして処分しなければならないので、鉄骨造よりも解体費用がかかることになる)。

 

[図表]解体費用の比較

出典/一般社団法人建設物価格調査会『ジャパン・ビルディング・コスト・インフォメーションJBCI2014』(2014年)
出典/一般社団法人建設物価格調査会『ジャパン・ビルディング・コスト・インフォメーションJBCI2014』(2014年)

 

このように、工場・倉庫は、マンションと比べれば解体費用が低額であり、その結果、コストを抑えて建て替えを行うことが可能になります。

 

建て替えは不動産投資の有効かつ重要な選択肢の一つといえます。解体費用の高さが気になり、建て替えに対して消極的になるおそれのあるマンション投資に比べて、工場・倉庫投資のほうがより選択の幅の広い前向きな投資戦略を展開できるといえるかもしれません。

投資するなら「2階建ての工場・倉庫」がオススメ

なお、既存の工場・倉庫を建て替える場合、解体前の物件が平屋だった場合には、フロアを一つ増やして2階建てにすることを強くお勧めします。「フロアが2倍になる=アクティブ空間が2倍に増える」結果、より高い賃料でテナントに貸し出すことが可能となるからです。

 

 

このように2階建てにして賃料を高く設定できるのなら、「3階建てにすればさらに高く貸せるのでは」と思う人もいるかもしれません。

 

しかし、3階建ての工場・倉庫は階段の昇り降りに時間を取られ、作業効率が大きく低下するために、通常は嫌がられます。中には「事務所として使うから3階があっても別に構わない」というテナントもいますが、あくまでも例外的なケースです。

 

このように、費用をかけて3階建てにしても、逆にテナントを遠ざけるおそれがあるので、階数は2階にとどめておくのが無難です。

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    本連載は、2016年7月27日刊行の書籍『「工場・倉庫」投資のススメ』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    「工場・倉庫」投資のススメ

    「工場・倉庫」投資のススメ

    三浦 孝志

    幻冬舎メディアコンサルティング

    高齢化と人口減少により、空室率が上昇し続けているアパート・マンション。都心部の一等地にあるような立地条件のよい物件か、付加価値の高い築浅物件でもないかぎり、もはやアパート・マンション投資で儲けることはできません…

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