前回は、土地の調査においてまず重要となる「利用状況」の確認について解説しました。今回は、合わせてしっかり確認しておきたい、土地の「上空」「地下」等について見ていきます。

上を見る=送電線と容積率の確認

現地調査の2番目として、土地の上空の確認があります。

 

●送電線の有無

所有する土地の上空に送電線が設置されていると、建物の建築に制限がかかります。調査対象の土地の上空に送電線があった場合、地役権(他人の土地を自由に使用する権利。このケースの場合、土地の上空を使っている電力会社が地役権を持っていることになる)の設定登記があるかどうかを確認します。

 

電力会社の地役権設定登記がある場合には、土地の所有者がこの土地を利用する際に制限がかかるため、税務上では減額要素となります。


●容積率の制限を超える建物の有無

大都市など、土地をフルに活用することが求められる地域では、容積率に満たない建物が立っている土地の未利用容積率(余剰容積率)を隣接地に移転することが認められています。

 

調査対象地に容積率を超える建物が立っていた場合、それが余剰容積率の利用によるものなのかどうかの確認も必要です。余剰容積率を隣接地に移転している場合、相続税の評価においては減額の要素となります。

下を見る=道路の幅員や地下施設などの確認

 

現地調査の3番目として、道路の幅や地下施設の有無などについての確認があります。

 

●道路の幅員

公図の道路幅員と現況の道路幅員に整合性があるか、また道路との境界標を確認します。建築基準法では原則として建物の敷地は幅員4 m以上の道路に接している必要があり、その要件を満たさないと建築は認められません。これを「接道義務」と言います。

 

しかし古くからある市街地などでは4m未満の道が多く、建て替え不能となってしまうため、道路の中心線から水平距離で2m後退(セットバック)した線を道路の境界線と見なすことによって建て替えを可能としています。調査対象地のセットバックが終了している場合、土地の面積が狭くなる分、評価が下がります。


●下水道の敷設

調査対象地の前面道路の下水道管について、敷設状況を確認します。敷設されていれば、役所で下水道受益者負担金がどうなっているかを調べます。未納金があればその額を把握します。

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