前回は、「地価」と「金利」から見えてくる不動産市場のトレンドについて説明しました。今回は、不動産市場のトレンド把握に役立つ代表的な「指数」について見ていきます。

東京証券取引所が算出・公表する「東証リート指数」

不動産市場のトレンドを把握するうえでは、不動産投資にかかわる各種指標も重要な手がかりとなるでしょう。主要な指標としては、まず東証リート指数があげられます。東証リート指数とは、東京証券取引所に上場する全銘柄のリートを対象とした「時価総額加重型」の指数です。

 

2003年3月31日(終値)を基準日として、そのときの時価総額を1000ポイントとし、現在の時価総額がどの程度あるのかを示しています。算出対象銘柄の上場廃止、増資、新規上場などがあれば、時価総額はそのつど修正されています。市況以外の要因によって時価総額が変動することを避けるためです。

 

算出開始日は2003年4月1日からで、算出・公表は東京証券取引所によって行われています。ちなみに、2016年1月19日現在の東証リート指数は1655.42ポイントとなっています。

 

【図表 リート指数の図】

出所:日本取引所グループ東京証券取引所ウェブサイトをもとに作成
出所:日本取引所グループ東京証券取引所ウェブサイトをもとに作成

不動産証券化協会がまとめる「AJPI」「AJFI」

リート指数以外の指標としては、不動産証券化協会(ARES)によってまとめられているインデックスも参考になります。

 

具体的には、①「ARESJapanPropertyIndex(AJPI)(実物不動産インデックス)」と②不動産ファンドの収益性を反映した「ARESJapanFundIndex(AJFI)(不動産ファンドインデックス)」の2つがあります。

 

まず、①AJPIは国内不動産に投資を行うコア・ファンドが保有する投資用不動産の運用実績を示すものです。私募ファンドの運用会社からデータ提供されるコア・ファンドの保有不動産の運用実績とリートの保有不動産の運用実績から得られるインカム・リターンとキャピタル・リターンを加重平均して指数化しています。

 

一方、②AJFIでは不動産ファンドの収益性が反映されます。ファンドの運用会社から提供される私募ファンドとリートのパフォーマンスから得られるインカム・リターンとキャピタル・リターンが加重平均され指数化されています。

 

いずれも、推計ではなく、運用実績に基づいて算出されており、それぞれの指数に関して、以下のようなデータが公表されています。

 

(AJPI)

ㅡ2001年12月31日=1000とする月次リターン指数

ㅡ四半期・年次収益率(インカム、キャピタル、トータル・リターン)

ㅡ用途・エリア別等のサブインデックス

ㅡユニバース:物件数、資産総額、平均稼働率、利回り等

 

(AJFI)

ㅡ2001年12月31日=1000とする月次リターン指数

ㅡ四半期・年次収益率(インカム、キャピタル、トータル・リターン)

ㅡその他ファンド数、資産総額、NAV等の動向

本連載は、2016年3月28日刊行の書籍『ローリスクで年利7% 1万円から始める不動産ファンド投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。本書に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本書の内容は著者の個人的な見解を解説したものであり、著者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本書の情報を利用した結果による損害、損失についても、出版社、著者並びに本書制作関係者は一切の責任を負いません。投資のご判断はご自身の責任でお願いいたします。

ローリスクで年利7% 1万円から始める不動産ファンド投資

ローリスクで年利7% 1万円から始める不動産ファンド投資

小山 努

幻冬舎メディアコンサルティング

投資で資産を増やさなければ、将来の見通しが立たない――。 一般のサラリーマンの間でも、企業や社会保障に頼らずに資産をつくるしかないと、「貯蓄から投資へ」向かう傾向が強まっています。 本書では、理想先な投資先とし…

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