前回は、海外不動産投資が「ジャパンリスク」の回避に役立つ理由を説明しました。今回は、通貨の強さから考える「安定した海外不動産」の投資先について見ていきます。

「通貨の強さ」を考えて海外投資先を検討

海外投資に際して、最初に考えなければならないのはやはり投資の対象とする「通貨」をどこにするのか、という問題です。現在、海外不動産投資というと、アジアなどの新興国が注目されていますが、問題は投資する国の通貨の行方がどうなるのか、という点でしょう。

 

たとえば、海外不動産の投資ではマレーシアやタイに人気が集まっていますが、これらの国に投資する場合も、まず考える必要があるのは、「出口戦略」だといわれています。簡単にいえば、不動産を投資目的で買うときには、「売る」ときのことを考えて投資する必要があるということです。文字通り、出口を想定して投資する姿勢が大切ですが、そういう意味でいえば投資した物件が、高い価格で売れたとしても、海外の場合はその国の通貨の「強さ」が重要になってくるかもしれません。

 

そもそも不動産投資の場合、どうしても投資期間が5年、10年という期間になるわけですが、5年後、10年後の投資環境は誰にもわかりません。将来の通貨のレベルは誰にもわからないということです。ただ、それでも将来的によほどのことがない限り、基軸通貨といわれる「米ドル」の強さに対しては、ある程度の予想ができる可能性があります。そういう意味でも、海外の不動産に投資するのであれば、米国の不動産に投資しておくというのは賢明な選択肢のひとつではないでしょうか。

「リスクオフ」になると、マネーはどこに集まるか?

また、海外不動産投資の目的が、日本経済に万一の事態があったときに備えてリスクを分散しておく、というものですから、日本経済の危機的状況のときには、円安が進行していると考えるのが自然です。円に対して強くなる通貨といえば、やはり「米ドル」といっていいでしょう。

 

たとえば、中国人民元といった選択肢もあるかもしれませんが、日本経済に万一のことが起こった場合、当然世界経済が大混乱に陥るわけですから、そんなときには、いわゆる「リスクオフ」の状態となって、安全資産といわれる米ドルに世界中のマネーが集まることになります。当然、中国人民元からも資金が引き出されて、米ドルに回帰することになります。そう考えたときには、やはり米ドルが強いと考えていいでしょう。

 

将来的に、世界第3位の経済大国「日本」に何かが起これば、世界中が「リスクオフ」になります。リスクオフといえば、ヘッジファンドや投資銀行の自己勘定部門といった世界中のリスクマネーが安全資産に逃避します。日本円に代わる安全資産といえば、米ドルぐらいしかないのかもしれません。

 

もちろん、最強の通貨である米ドルが、出口戦略の時点でも最強の通貨である保証はどこにもありません。日本経済が破たんするようなことがあれば、当然ながら米国をはじめとして世界中の経済にも大きな影響を与えます。リーマン・ショックのような状況になるかもしれません。そんなときには、金などの「モノ」の価値のほうが高くなっている可能性もあります。

 

要するに、将来のことは誰にもわからないということです。そういう意味でも、安定運用ができて、リスク回避ができる運用商品であるかどうかが重要になってくるわけです。

本連載は、2014年4月30日刊行の書籍『ヘッジファンド×海外不動産で組む 鉄壁の資産防衛ポートフォリオ』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
本連載の記載の内容は情報の提供および学習を目的としたものであり、本連載を用いた運用は、必ずご自身の責任と判断によって行ってください。また、本連載の内容に関して運用した結果については、著者およびヘッジファンド証券株式会社、株式会社幻冬舎メディアコンサルティング、合同会社幻冬舎ゴールドオンラインはいかなる責任も負いかねます。また、本書に記載されている情報は2014 年4 月現在のものであり、今後変更されることがあります。

ヘッジファンド×海外不動産で組む  鉄壁の資産防衛ポートフォリオ

ヘッジファンド×海外不動産で組む 鉄壁の資産防衛ポートフォリオ

植頭 隆道

幻冬舎メディアコンサルティング

相場の影響を最小限に抑え、どんなときでも一定の利益を狙える安定運用型のヘッジファンド。 所得税・地方税の節税効果が高く、投資効率も良い米国不動産。 本書ではこの2つを解説すると共に、投資家の属性別・将来のシナ…

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