危機意識が強い富裕層ほど海外投資にこだわる理由

前回は、自社売却などでまとまった資金を獲得した場合と、ヘッジファンドをよく使う「法人」の場合のポートフォリオの実例を説明しました。今回は、危機意識が強い富裕層ほど海外投資にこだわる理由を見ていきます。

日本国内で始めるにはハードルが高い「海外投資」

超富裕層の間では、市場の上げ、下げに関係なく収益を追求してくれるヘッジファンドの人気が高いことを紹介してきましたが、分散投資という観点からもヘッジファンドだけに頼るわけにはいきません。銀行預金を中心に、一般の投資信託や債券、そして一部には金などのコモディティに投資している富裕層は数多くいらっしゃいます。

 

ただ、どの投資家も悩んでいるのが「海外投資」です。ヘッジファンドも、日本の株式市場などに投資しているタイプのものは数多くありますし、ある程度の資産家であれば銀行などの紹介で、日本国内で売買が可能なヘッジファンドなどに投資もできますが、海外投資となると途端にハードルが高くなります。

 

本格的に海外のヘッジファンドに投資するためには、海外に本支店のある外資系金融機関などの富裕層向けのサービスを受けられる環境を作る必要があります。日本国内にも、スイスのプライベートバンクなどを紹介する業者がいますが、信用できるのかどうかの判断は簡単ではありません。かといって、自分で海外まで出かけて行って、何の紹介状も持たずに大手銀行の扉をたたいても、簡単には口座を開設してくれません。

 

とりわけ、米国同時テロ事件以後は「マネーロンダリング」の問題などがあって、素性のわからない人間には口座を開設してくれないケースが多いようです。

日本円だけで資産を保有することに対する三つの不安

そもそも、なぜ富裕層が海外投資にこだわるのかといえば、ひとつには前述したように日本国内だけで資産を保有し、運用していくことには不安があるからです。なぜ、不安なのでしょうか。もう一度おさらいをしておくと、大きく分けて三つの理由があります。

 

①政府債務1000兆円超への不安……

発行残高が1000兆円を超える日本国債や自治体の債務問題が、いずれ表面化するのではないかという恐れがあります。国債を誰も買ってくれなくなって、金利が急騰、日本経済の成長性に大きな不安材料となる可能性があります。

 

②超円安への不安……

財政赤字とも関係がありますが、日本国債が暴落、金利急騰といった事態になれば、日本円に対する信認が薄れて、日本円は超円安になる可能性があります。さらに、原発問題の長期化で貿易収支の赤字が続けば、やがては経常収支も赤字となり、日本円が売られる要因に。日本は超円安による輸入物価高騰で激しいインフレに陥る可能性があります。ハイパーインフレとまではいかないにしても、インフレは資産の価値を下げてしまうことになります。

 

③少子高齢化の進展……

これも日本経済の成長活力にとってマイナスとなり、長期的には株安、円安の原因となります。

 

要するに、日本円だけで資産を保有しておく、あるいは日本だけで資産運用していくことに対して、どうしても不安を抱かざるを得ないのが、現在の日本の姿ではないでしょうか。とりわけ、富裕層であればあるほど、万一日本経済に何かがあったり、日本の金融システムを揺るがすような事態になったときに備えて、どんなことができるのかを考えている投資家が数多くいます。

 

富裕層のなかにも、万一に備えて何をすればいいのか、あるいは日本国内での資産運用については自分のリスク許容度の範囲内でヘッジファンドなどを中心に運用するとして、数年後、もしくは数十年後に日本経済に起こるかもしれない「緊急事態」の発生に備えて、どんなリスクヘッジができるのか。そんな問題意識を持つ人が非常に多いように思われます。

 

一方で、そうした危機意識をほとんど持っていない富裕層もいらっしゃいます。その人、その人の考え方ですから、そうした考え方の違いは当然としても、個人的にはやはり資産運用、資産保全という観点から「分散投資」が必要であり、そのためのノウハウとして「海外投資」を推奨したいと思います。

本連載は、2014年4月30日刊行の書籍『ヘッジファンド×海外不動産で組む 鉄壁の資産防衛ポートフォリオ』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
本連載の記載の内容は情報の提供および学習を目的としたものであり、本連載を用いた運用は、必ずご自身の責任と判断によって行ってください。また、本連載の内容に関して運用した結果については、著者およびヘッジファンド証券株式会社、株式会社幻冬舎メディアコンサルティング、合同会社幻冬舎ゴールドオンラインはいかなる責任も負いかねます。また、本書に記載されている情報は2014 年4 月現在のものであり、今後変更されることがあります。

「資産運用」この記事を読んだ方はこんな記事も読んでいます

「ヘッジファンド」この記事を読んだ方はこんな記事も読んでいます

連載ヘッジファンド投資で長期的に年利10%を確保する方法

ヘッジファンド証券株式会社 代表取締役

1979 年(昭和54 年)6 月、福島県伊達市生まれ。2002年(平成14 年)3 月に立教大学社会学部卒業後、KOBE証券(現インヴァスト証券)入社。主に中堅企業のオーナーなど富裕層をターゲットとした営業を展開。2009年(平成21 年)に独立後、投資事業組合を通じたヘッジファンド投資への募集を開始。2010 年(平成22 年)にUGS アセットマネジメント株式会社の代表取締役に就任し、富裕層に対するヘッジファンドの営業基盤を確立する。2013 年(平成25 年)8 月から現職。

著者紹介

ヘッジファンド×海外不動産で組む  鉄壁の資産防衛ポートフォリオ

ヘッジファンド×海外不動産で組む 鉄壁の資産防衛ポートフォリオ

植頭 隆道

幻冬舎メディアコンサルティング

相場の影響を最小限に抑え、どんなときでも一定の利益を狙える安定運用型のヘッジファンド。 所得税・地方税の節税効果が高く、投資効率も良い米国不動産。 本書ではこの2つを解説すると共に、投資家の属性別・将来のシナリオ…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧