今回は、資産運用におけるロボアドバイザーについて、その日本でのビジネスの現状を見ていきます。 ※本連載は、西村あさひ法律事務所の有吉尚哉弁護士、本柳祐介弁護士、水島淳弁護士、谷澤進弁護士の編著書籍、『FinTechビジネスと法 25講』(商事法務)の中から一部を抜粋し、近年、大きな注目を集めている「FinTech」の概要や関連法制について紹介していきます(本稿は、上記書籍の14講の抜粋です)。

2015年頃から日本でも各社がサービスを開始

2.日本におけるロボアドバイザービジネス

 

日本においては、2015年頃からロボアドバイザービジネスが注目され始めた。2015年5月からエイト証券が、米国に上場しているETFを対象にしたロボアドバイザービジネスとして、米国評価会社モーニングスターの技術を使い、それぞれの個人に合ったポートフォリオを自動作成する「エイトナウ」を開始した。

 

また、株式、債券、不動産、金や原油など世界に上場するETFに投資するウェルスナビや国内の公募投資信託に投資するマネックス証券の「answer(アンサー)」もロボアドバイザーによる運用支援サービスを手がける(13)

 

2015年10月には、みずほ銀行が、子会社のみずほ第一フィナンシャルテクノロジーと協力して機関投資家が使う運用手法に基づく助言を行う形でロボアドバイザービジネスに参入し(14)、2016年2月16日には、お金のデザインによる、世界に上場するETFに投資する一般ユーザー向けのロボアドバイザーサービス「THEO(テオ)」が開始された。

 

また、楽天証券がロボアドバイザーを使い、個人が運用を金融機関に一任するラップ口座のサービスを開始するといわれており(15)、2015年末に設立されたマネックス・セゾン・バンガード投資顧問やFolioもロボアドバイザービジネスに参入することが明らかになっている(16)(17)(18)

 

いずれもスマートフォンのアプリを通じて一般顧客の資産運用を身近にしようという試みをしているものばかりである。

 

【図表 ロボアドバイザー一覧】

 

脚注

(13)日本経済新聞「資産運用、アプリが指南最適のポートフォリオ作成」(2015年8月8日付)。

(14)日本経済新聞「みずほ銀、ロボが運用助言、メガバンクで初30日から」(2015年10月30日付)。

(15)日本経済新聞「ロボ運用、個人向け続々低コスト、若年層開拓楽天証券、今夏に」(2016年4月7日付)。

(16)モーニングスター「マネックス・セゾン・バンガード、フィンテックの個人向け投資一任運用サービスで提携引き合い活発」(2016年4月8日付)。

(17)日本経済新聞「広がる『ロボット』運用GMOクリックも参入」(2016年1月25日付)。

(18)日本経済新聞「資産運用支援サービス『Folio』が3億円を資金調達」(2016年3月16日付)。

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    本連載は、2016年7月15日刊行の書籍『FinTechビジネスと法 25講』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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