どんな現場から「常識外の船舶ファンド」は生まれたのか?

募集開始からわずか5日で“ほぼ完売”。そんな人気を博しているSBIマネープラザの「船舶ファンド」の特徴は、大きく2つある。「95%」という初年度損金率の高さと、「最短5年の可能性」という投資期間の短さだ。他にない投資商品はいかにして生まれ、世に出ることとなったのか? 最前線で開発やセールスに携わった影の立役者たちを追った。

販売パートナーは税理士・会計士や地方銀行

――9月からSBIマネープラザとして初めての船舶ファンドの募集を開始しましたね。現場では、どのようにして新商品開発に漕ぎつけたのでしょうか?

 

SBIマネープラザ株式会社 総合企画部課長 早乙女忠克氏
SBIマネープラザ株式会社 総合企画部課長 早乙女忠克氏

早乙女 私が「船舶ファンドの開発を行うかもしれない」と聞かされたのは、昨年10月頃のことでした。ご存じかもしれませんが、当社は初年度に約90%を上回る税務上の償却メリットを享受いただくことができて、投資期間も最短5年となる可能性があるという「太陽光ファンド」を一昨年から売り出し、投資家の皆さまから2014年度で約30億円、2015年度で約100億円もの出資をいただきました。

 

お申し込みいただいた投資家の多くは、安定的な利回りに加え、税務上の償却メリットも享受したいという法人さんや企業のオーナーさんになります。これを踏まえて、2016年度も引き続き……となるわけですが、太陽光発電事業においては、特別税制が本年度で終了する予定です。

 

そのため、来年度を見据え、この船舶ファンドを太陽光ファンドの後継商品と位置付け、法人さんのニーズが高まる9月までに、利回りに加えて税務上の償却メリットも享受できる投資商品として具体化しようと、話を聞いてすぐにリサーチを開始しました。

 

――具体的にはどんなことをリサーチされたのですか?

 

早乙女 「船」を扱うのはSBIマネープラザとして初めてのことでしたから、まずは既存の船舶ファンドには、どのような商品特性があるか? というリサーチから始めました。その結果、初年度損金率が90%以上で投資期間の短いものを生み出せれば、競合他社商品よりも優位性を発揮できると確信しました。そこで、年明け1月からクリアすべき課題を洗い出し、4月頃までには正式に開発承認が下りたので商品化に乗り出しました。

 

土居 私の場合は、年明けぐらいに階戸(SBIマネープラザ常務取締役総合企画部長)から、「これ(船舶ファンド)売れるかな?」という話があり、そこから実際に投資家さんをかかえておられるパートナーさんへのヒアリングを開始しました。パートナーさんとは、主に税理士・公認会計士の先生方や地方銀行さんなどです。

 

私は、もともと税理士・公認会計士の先生方のネットワークを販売チャネルとする証券会社におりましたので、特に親しくしている先生に「こんなイメージの船舶ファンドですが、売れると思いますか?」と感触を探っていきました。

「今さら船舶ファンド?」から目の色が変わる理由

――どのような反応でしたか?

 

SBIマネープラザ株式会社 アライアンス推進部長土居由香利氏
SBIマネープラザ株式会社 アライアンス推進部長土居由香利氏

土居 最初は「今さら船舶ファンド?」という感じではありました(笑)。というのも、船や飛行機のオペレーティングリースに関するファンドそのものは古くからある税務上の償却メリットのある投資商品です。税理士・会計士の先生方も、課税所得の繰り延べニーズのあるクライアント企業に船舶ファンドをご紹介すること自体は珍しくありません。

 

例えば、ある先生と連れだって投資信託の営業のためにクライアント企業を訪問したときにも、社長室に船・飛行機の模型や写真が飾られている様子をたびたび目撃しました。そのときは、「投信はなかなか売れないのに、船や飛行機が売れるなんて羨ましいな」と思ったものです……。

 

まさか自分も「船」を扱うことになるとは思いもしませんでしたが、その経験があったため、商品設計次第では必ず売れると感じていました。実際、「今さら」とおっしゃっていた先生方も、「初年度損金率が90%以上で、投資期間がこれまでの商品より短くなる可能性があります」とお伝えしたら、目の色が変わりましたね(笑)。

 

株式会社ミナトマネジメント        マネージングディレクター 津田愛珠氏
株式会社ミナトマネジメント        マネージングディレクター 津田愛珠氏

早乙女 太陽光ファンドの販売においても、パートナーの皆さまにはかなりたくさんのお客さまを紹介していただきましたよね。

 

土居 2年間で約130億円を集めましたが、そのうち8割が税理士・会計士の先生方を介しての申し込みでした。そして、この太陽光ファンドの取り扱いを開始してから、ミナトマネジメントさんとのお付き合いが始まったんですよね。

 

津田 ただ今回、初めて扱う投資商品を、開発段階から関わらせてもらっている点は、やはり太陽光ファンドのときとは異なりますね。太陽光発電事業を対象とするファンドそのものが新しい投資商品でしたので、同様のファンドを手掛ける事業者はいずれも“新規参入者”でしたが、今回の船舶ファンドに関しては、私たちは完全な後発組です。

 

ですから、対象資産である船についてもとことん勉強しました。どんな用途に使われ、他の船とどこが違うのか、そのような点から理解を含めることからでした。アドバイザーさんから詳しく説明を聞いたり、早乙女さん含め、当社の倉本(ミナトマネジメント代表取締役)や階戸さんと、実際に船を造っている青森の造船所の視察にも行って、造船所の方からも詳しく説明をうかがいました。

 

土居 それには、私は同行していないんですよね……。もちろん、階戸や早乙女からは、視察の際の写真を見せてもらって、徹底的に説明は受けましたが。いくらいい船で、いい金融商品を作っても、売れなければ意味がないんです。セールス部隊の販売責任者である私が行っていないのはね……(苦笑)。

 

 

取材・文/田茂井治 撮影/鵜澤昭彦
取材・文/田茂井治 撮影/鵜澤昭彦

 

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プロフェッショナルたちが語る「船舶ファンド」の最前線 ~コンセプト編<第1回>

株式会社ミナトマネジメント マネージングディレクター

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SBIマネープラザ株式会社 アライアンス推進部長

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