病院M&Aでは、なぜ「マッチング」に一番時間がかかるのか?

前回は、後継者不在の病院は廃業よりM&Aがお勧めな理由を解説しました。今回は、病院M&Aでは、なぜ「マッチング」に一番時間がかかるのかについて見ていきます。

なかなか見つからない「運命の相手」

●M&Aの流れ

 

病院M&Aの手順において、特に重要で一番時間がかかるのがマッチングです。運命的に相手が見つかることもありますが、なかなか適当な相手が見つからないこともあります。

 

•売り手が承継したいタイミングで買い手が見つかるか

•診療科目は問題ないか(同じ診療科同士でM&Aできるのが理想。診療科目が異なるときは問題点がクリアできるか)

•価格的な折り合いが双方でつくかこれらの基本的な合意が得られたら、次に具体的な条件の擦り合わせ(デューデリジェンス)が行われます。

 

売り手側の病院の財務状況や法務面・労務面などの問題など、経営実態をすべて公開し、譲渡価格が適正かどうかなどの査定や検証をするのです。ここで重大な欠陥やリスクが見つかった場合は、金銭でできるものについては査定額からマイナスされ、お金で換算できないものについては、条件・内容の変更を含めて交渉が行われます。

 

経営上の欠陥やリスクを隠したり、偽って報告したりしていたことが後から発覚すると、契約が反故になったり、裁判に訴えられたりする場合もありますから、売り手側は正直かつ真摯に実情を公開することが大切です。

 

【図表 M&Aの流れ】

医療法人のM&Aには幅広い専門知識が必要

●病院M&Aは誰に相談すべきか

 

医療法人のM&Aを得意とするプロを探すのは至難の業かもしれません。一般企業のM&Aに比べて医療法人のM&Aは特殊で複雑なので、扱える専門家が限られるからです。

 

どれくらい難易度が高いかというと、普段M&Aを専門にしていて、何度も手がけたことがあるプロでもミスや失敗をすることがあるくらいです。医療、法律、税務、労務など幅広い専門知識が必要で、とりわけ医業特有の許認可関係や、病院ならではの運営ノウハウ、医療業界のルールなどはかなり特異だからです。

 

病院M&Aのプロと直接知り合うことを考えるより、いろいろな業種の専門家とネットワークを持ち、多方面から情報が集まってくる「コーディネーター」のような存在を探し、その人から紹介を受けるようにしたほうが近道かもしれません。

本連載は、2016年5月27日刊行の書籍『相続破産を防ぐ医師一家の生前対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

1級ファイナンシャルプランニング技能士、AFP(アフィリエイテッド・ファイナンシャル・プランナー) 相続診断士

1990年、みずほ銀行(旧第一勧業銀行)に入行し、融資業務・ファイナンシャルプランニング業務に従事。2004年、アリコジャパンへ生命保険コンサルタントとして入社。営業成績は常に全国10位以内を維持し、全国1位も経験した。

優れた生命保険コンサルタントの証しであるMDRT会員に認定され、2007年・2008年にはMDRTアリコ会執行部役員に就任。

2009年にフィナンシャル・デザイン株式会社を起業、独立した。当初は富裕層の相続や保険の見直しをメイン業務とし、現在は医療法人の事業承継・相続も扱う。ファイナンシャルプランナーとして資産の全体設計から問題点を抽出、的確な解決策を提案し、税理士や会計士との「橋渡し」をすることで、顧客の資産保全に尽力している。

著者紹介

連載開業医の相続破産を回避する13のテクニック

相続破産を防ぐ 医師一家の生前対策

相続破産を防ぐ 医師一家の生前対策

井元 章二

幻冬舎メディアコンサルティング

【医師一家の相続は、破産・病院消滅の危険と隣り合わせ 今すぐ準備を始めないと手遅れになる! 】 換金できない出資持分にかかる莫大な相続税 個人所有と医療法人所有が入り乱れる複雑な資産構成 医師の子と非医師の子への遺…

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