前回は、日本に住んでいるからこそ、不動産投資がおすすめである理由を説明しました。今回は、実質利回りの計算方法を見ていきます。

「実質利回り」と「金利」の差が利益に

収益物件からインカムゲインを得る場合、具体的には、物件利回りと借入金利との差が「利益」となります。簡単にいえば、金利1%でお金を借り、利回り7%で運用できればその差額である6%が利益ということです。

 

利回りは一般的に表面利回りで表記されますが、ここで説明しているのは「実質利回り」です。不動産においては、固定資産税、管理費、修繕費などの諸経費が発生します。これを控除した後の利回りを実質利回りといいますが、この実質利回りと借入金利との差(専門的には「イールドギャップ」といいます)が利益となります。

日本では比較的高く取れる「イールドギャップ」

次の計算式をご覧ください。この物件は表面利回り10%ですが、実質利回りに換算すると8%となります。

 

物件価格:1億円

賃料収入:年1000万円(表面利回り10%)

諸経費:年200万円

借入金利:2%

1000万円−200万円=800万円

800万円÷1億円=8%

 

この実質利回り8%と借入金利2%の差の6%が利益となります。2%でお金を借りて8%で運用できるから利益が出るともいえます。

 

なお、実質利回りは古い物件ほど下がります。その理由は、古い物件は修繕の費用がかかるためです。いずれにしても高利回り・低金利でイールドギャップが高く取れる環境によって、収益物件からインカムゲインを得られる仕組みが構築できるのです。

 

イールドギャップを目安にすれば、どのような条件で借り入れすればいいか判断ができます。例えば、表面利回り9%、実質利回りでは6%という物件への投資を考えるとします。

 

イールドギャップを4%以上は取りたいと考えた場合、借入金利は2%以下でなければならないことがわかります。「実質利回り6%-借入金利2%以下=イールドギャップ4%以上」となるからです。

 

イールドギャップをどの程度狙うかは先述の活用の目的によって変わってきます。借入期間・金利にもよりますが、一般的に4〜5%取れれば借入金の元金分の返済も可能になります。

 

日本は比較的イールドギャップが高く取れますが、海外ではゼロやマイナスになるケースもあります。

 

[図表]表面利回り・実質利回りとイールドギャップ

 

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本連載は、2014年8月30日刊行の書籍『会社の経営安定 個人資産を防衛 オーナー社長のための収益物件活用術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

本連載は情報の提供及び学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資・経営(管理運営)の成功を保証するものではなく、本連載を参考にしたアパート事業は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本連載の内容に基づいて経営した結果については、著者および幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。なお、本連載に記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時のものであり、今後、変更されることがあります。

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大谷 義武

幻冬舎メディアコンサルティング

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