クリニックM&Aで「買い手」はどんな点に着目するのか?

前回は、クリニックのM&Aにおいて「買い手が着目するポイント」について取り上げました。今回も引き続き、買い手が着目する具体的なポイントを見ていきましょう。

承継後の負担となる機器の購入やリース契約は避ける

前回に引き続き、クリニックの買い手は、具体的にどのようなことに着目しているのか見ていきます。

 

②簿外債務の存在

買い手は、現在の財務状況など帳簿上の数字だけを見ているのではありません。帳簿には記載されない「簿外債務」のリスクも一緒に考えています。簿外債務とは、貸借対照表に計上されない債務のことです。

 

例えば、クリニックが訴訟を起こされていたり、連帯債務を負っていたりすれば偶発的に賠償金を支払うことになりかねません。また、引き続き雇用される従業員の退職金要支給額や現在リース契約中の医療機器の残額などがあれば、承継後の負担となります。

 

したがって、簿外債務についても明確にする必要があります。新しい機器の購入やリース契約などは、M&Aを決断した時点で控えるほうがいいでしょう。

今後の経営予測の材料となる「推定患者数」の分析

③患者の分析と診療圏の調査

クリニックを承継するにあたって、どのような患者がいて、診療圏はどこまでなのかというのは今後の経営に大きな影響を及ぼします。現在、様々な医療コンサルタント会社が事前の診療圏調査で開業支援を行っているのも、その重要性が注目されているからです。

 

診療圏の調査は、人口動態調査、競合医療施設の分析などから、推定患者数を割り出していきます。この点においてM&Aによるクリニックの承継では、すでにある程度の患者が見込めるため、今後の経営状況を予測しやすくなることがメリットです。今あるクリニックの集患状況が良くなかったとしても、もし集患しやすい場所にクリニックがあるのであればそれは大きな強みになります。

 

M&Aにおいてもっとも重要なのは、そのクリニックに魅力的な強みがあるかどうかです。特に立地などは簡単に変えられないため、その土地で開業したいとか、競合医療施設が周囲にないなど、安定的にクリニック経営ができる場所であれば買い手の目にとまるでしょう。

 

【図表】譲渡しやすいクリニック 譲渡しにくいクリニック

本連載は、2015年9月25日刊行の書籍『開業医のためのクリニックM&A 』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

岡本雄三税理士事務所 代表
株式会社MARKコンサルタンツ 代表 

岡本雄三税理士事務所代表。株式会社MARKコンサルタンツ代表。税理士、行政書士、宅地建物取引士、M&Aシニアエキスパート、経済産業省認定経営革新等支援機関。1967年生まれ。1991年、早稲田大学商学部卒業。1998年、岡本雄三税理士事務所開設。2000年、公益社団法人日本医業経営コンサルタント登録。個人医院の開業、医療法人の設立、税務など、医業コンサルティング業務のほか、一般法人の税務、事業承継、M&A支援、資産税にかかわるコンサルティング業務を手掛ける。

著者紹介

連載クリニックM&Aを成功に導く「6つのポイント」

開業医のためのクリニックM&A

開業医のためのクリニックM&A

岡本 雄三

幻冬舎メディアコンサルティング

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