前回は、投資対象としての「木造アパート」の優位性を見てきました。今回は、素人が賃貸物件を購入するなら「新築」が無難だといえる理由について説明します。

「プロ」以外であれば新築を買ったほうが断然有利!?

構造と同時に悩むのが、新築にするか中古にするかについてではないでしょうか。そこでまず、ひとつの事例を紹介します。

 

6年前にあるクライアントが1億3500万円の新築アパートを購入してくれました。それが最近になって景気が上向いてきたということで売りたいという話になり、1億2500万円で売却しました。

 

売買だけでみれば1000万円の損失です。しかし、その間の6年間の家賃収入は合計6000万円で、諸経費やローン金利を差し引いてもプラス3500万円利益が残ったのです。

 

この利益だけでも十分メリットがあったわけですが、そのクライアントは売却で得た1億2500万円を元手に、今までよりも大規模なアパートを購入しました。ここで私が伝えたいのは、築浅物件だったから売却できたということです。仮に皆さんが築6年の物件を購入し、14年間所有したとしましょう。築20年のアパートを誰が買いたいと思うでしょうか。

 

古いので入居者がつきにくい、さらにエアコンや給湯器などの設備はいつ壊れるか分からない。しかも売りたいと思う物件は、メンテナンスが行き届かない状態で汚くなっているものです。そのためリフォーム代もかかるので、ほとんどの人は買いたくないはずです。

 

一部のプロを除き、何千万のローンを組んだ上にこれだけの費用をかけるオーナーがどれだけいるでしょうか。ローンに組み込むことも可能ですが、そこまでしたら毎月の収支が合わないでしょう。

 

もし、それでも中古物件を選ぶとするならば、立地条件はよいもののリフォームをしても価値が上がらないほど傷んでいる物件です。これを土地代だけの費用で買えるなら建て替えを検討できるからです。

 

しかし、建て替えをするなら今住んでいる入居者の退去費用を負担しなければなりませんし、退去するまでの期間も法律で6か月設けなければならないことになっています。その上でゴネられたら素人では対処法が分かりません。プロでないと手におえないはずです。

賃貸物件の中古市場は「ババ抜き」状態

賃貸物件の中古市場はババ抜きのようなものです。そもそも経営が順調な物件を手放す人はいません。市場に出ているほとんどの中古物件は、なにかしら欠点があるものです。最後に収支が合わない物件を買った者が負け。

 

ただし、ごく少数ながら中には数十年経ってもあまり価値が下がらない掘り出し物も存在します。しかし、そのような物件は素人には回ってきません。

 

「買います!でもローンが通るかどうか分かりません」という人よりも、「万が一ローンが通らなければ違約金を払います」という人、融資条件なしですぐに買える人、要するにプロ(資金力のある専門業者)にしか話が来ないようになっているのです。

 

素人でも掘り出し物が手に入る時期がありました。バブル崩壊後とリーマンショック後です。物件があふれてプロでも買い切れず、素人にも回ってきたのです。現在巷で出回っているアパート経営成功本の著者は、この時期に物件を手に入れた人が多いようです。

 

そうしたチャンスが今後全くないとは言えませんが、いつくるかもわからないチャンスを待つより、今からできる堅実な物件を探す方が良いでしょう。

 

ですから、サラリーマンがアパートを購入するなら新築物件です。新築物件なら入居者がつきやすく、メンテナンスも楽。さらに突然手放さなければならない事態になった場合や、より大規模な物件を欲しくなった際に売却しやすいからです。もちろん、千載一遇のチャンスが到来した時には、掘り出し物の物件を手に入れる原資にもなります。

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    本連載は、2014年11月27日刊行の書籍『サラリーマンが30代から「アパート経営」で年収を300万円以上増やす方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    田脇 宗城

    幻冬舎メディアコンサルティング

    広がる格差、上がらない給与、将来に備えた生命保険や家のローンに子どもの教育費・・・。働けど働けど出費は増える一方なうえに、将来に対するお金の不安も拭えないという30代のサラリーマンは多いでしょう。 年収がプラス30…

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