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連載知らないと損をする「不動産売却」の必須ノウハウ【第5回】

「検査済証」がない――融資を受けられない不動産の実例

中古住宅

「検査済証」がない――融資を受けられない不動産の実例

前回は、中古不動産売買で不可欠な完了検査の「済証」について説明しました。今回は、「検査済証」や「建物の図面」などがないばかりに、融資を受けられない不動産の実例について見ていきます。

金融機関の貸し出し意欲は高いのだが・・・

検査済証がないことから、一般には高値で売りにくい不動産の実例を紹介しておきます。場所は、東京都世田谷区。幹線道路沿いの商業地です。土地の広さは約20 坪。そこに、築50年近いビルが立っています。地上4階建てで、エレベーターは設置されていません。

 

立地条件から考えればテナントはいくらでも付きそうに思いますが、半世紀近く前に建てた古いビルということもあって、オーナーは第三者に賃貸する意欲を失っており、ご自身で一部を使用していました。ある時このビルを売りに出そうと、オーナーは銀行系の不動産仲介会社に相談を持ち掛けたそうです。すると、済証がない点のほかにも、いくつかの問題点を指摘されてしまったといいます。それはまさに、書類不足です。

 

済証がないばかりか、建物の設計図面も、敷地の測量結果を示す図面もなかったのです。つまり、敷地の実測面積や建物の順法性が不明確なまま。これではさすがに、誰かが購入しようとしても、買い手は金融機関の融資を受けることができません。

 

金融情勢からいえば、金融機関の貸し出し意欲が高いことは間違いありません。2016年2月から日本銀行はいわゆるマイナス金利政策を取っていますから、企業や個人への貸し出し意欲はそれまで以上に高まっているはずです。実際、金融機関が融資の可否を決めるハードルは以前に比べれば低くなっていると感じます。

 

済証がない程度なら、メガバンクはともかく、融資相手の限られる地方銀行や信用金庫なら融資を受けられる可能性がないとはいえません。ただ必要な書類がここまで何もないと、それも心もとないところです。測量して土地の実測面積を確定するように、オーナーは相談を持ちかけた不動産仲介会社に促されたそうです。

「取り壊し」を選択して売却条件を改善する手も

そこに立つ中古ビルは一部を自己使用しているだけですから、すぐにでも取り壊すことは可能です。取り壊してしまえば、それは売り物ではなくなるので、済証や設計図面がなくてもまったく問題はありません。敷地の測量と中古ビルの取り壊しで、売却に向けた条件はぐんと改善するわけです。

 

ところが、オーナーはそれらの作業に手を付けるのを面倒に感じたようです。測量にしても中古ビルの取り壊しにしても、当然費用が掛かります。身銭を切って、手間を掛けてまで、売却に向けた条件を改善しなくてもいい、と判断したのでしょう。結局、それらには一切手を付けず、総額5000万円の価格で売却することを決めたのです。この判断は、私からすればとてももったいないことです。

 

設計図面も済証もない中古ビルを取り壊し、敷地を測量していれば、この土地を購入しようとする買い手は金融機関の融資を受けることができるはずです。測量やビル取り壊しの費用は掛かったとしても、もっと高値で売却できることは疑いようがありません。土地は約20坪とそう広くありませんが、立地条件はいい。本来はもっと価値の見込める土地です。

本連載は、2016年6月29日刊行の書籍『はじめてでも高く売れる 不動産売却40のキホン』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

宮﨑 泰彦

株式会社北極星コーポレーション 代表取締役

20年間以上マンション・ビル用地の開発事業や不動産再生事業に携わる。土地オーナーへのきめ細やかな企画・提案、コストの削減・管理までを行うコンサルティングには定評がある。不動産に関するさまざまな問題に正面から取り組み、優良な都市の形成と住宅の供給に日々励んでいる。

著者紹介

連載知らないと損をする「不動産売却」の必須ノウハウ

はじめてでも高く売れる不動産売却40のキホン

はじめてでも高く売れる不動産売却40のキホン

宮﨑 泰彦

幻冬舎メディアコンサルティング

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