前回は、大学キャンパスの「都心回帰」がアパート入居率に及ぼす影響について説明しました。今回は、賃貸物件投資における「エリア選定」の重要性を見ていきます。

薦められるケースも多い北海道だが、地域差は大きい

前回の続きです。学生街以外でも、地方の中核都市でなければ、いくら表面の利回りが高いからといってやみくもに地方投資することは控えた方が良いです。

 

北海道は、全国の不動産を売却する都内の会社が薦める、最も人気があるエリアといえます。降雪期間が長いため、RC造マンションが多く建築されており、建物の積算価格が高くとれる物件が多くあるためです。このような物件は建物の償却が47年であるため、残存年数分建物の評価が残っているので積算価格が高くとれる分、銀行が融資をしやすい案件です。

 

ただし、北海道は札幌市への一点集中による人口移動により、道内の地方の人口減少数が著しいエリアです。札幌市の中でも中央区、豊平区、東区などは転勤者のニーズも高く、新築マンションも立ち並び投資対象としては良いのですが、札幌市外での投資は控えた方が無難です。

 

また、札幌市はワンルームマンションの過剰供給が騒がれているエリアでもあります。家賃1万円台の物件も存在します。

 

10~13㎡の狭小マンションも多く、賃貸の将来性が見込めないものは避けるのが良いでしょう。

豪雪地帯では雪への対応コストも加味して検討

東北でみると、宮城県、福島県以外のエリアでの投資は控えた方が賢明です。特に秋田県は、人口減少が著しく進んでいるエリアですのでリスクが大きいです。

 

ただし、現在宮城県の中でも仙台市は震災による復興需要で空室がなく、過去家賃が3万円であった1Rマンションが3万5000円に、6000万円だったアパートも1割ほど上昇しています。そのため、割安の投資物件を探すのは難しい状況です。

 

福島県も宮城県と同じく、復興による建設ラッシュで、特に福島市内、郡山市内で物件が多くなっています。駐車場を確保している集合住宅の入居率は非常に高いようです。

 

賃貸経営をする上で、豪雪エリアでは雪害対策の塗装費用、凍結防止に伴う費用、雪かき費用など関東地域とは違うコストがかかるため、その費用を加味して利回りを高めに取得する必要があります。

 

また、海の近くのマンションでは潮風でRC造の外壁や、鉄部の錆が数年単位で発生します。そのため、塩害対策として大規模修繕を10年に1度は行わなければなりません。

 

この他にも、あらゆる地域要因で賃貸需要は変化していきます。管理、入居付けができる地元の不動産会社にエリアの賃貸ニーズや今後の展望などを確認し、慎重にエリアを選定することが必要です。

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