「グルコサミンとコンドロイチン」の臨床研究の問題点

前回は、世界で行われてきた「グルコサミンとコンドロイチン」の臨床研究の概要について説明しました。今回は、「グルコサミンとコンドロイチン」の臨床研究の問題点を見ていきます。

「臨床試験」の結果は患者の選定次第!?

前回の続きです。しかしこの研究には、いくつかの問題があります。私は現在のクリニックを開業して以来30件以上、患者数でいうと1000人以上の治験を治験責任医師としてこなしてきました。

 

変形性膝関節症の痛みに対する治験も数件行いましたが、この試験の成功の鍵は患者選定にあります。変形膝関節症は、患者さんによってその症状は多岐にわたります。症状が軽ければ治療なしでも自然に良くなる人もいますし、痛みが強い人は強力な鎮痛剤を飲んでも効果がありません。

 

治験責任医師はその臨床試験にマッチする人をうまく選んで、試験内容について説明し同意を得なければなりません。しかも治験が始まれば、その患者さんがきちんと薬を飲んでいるのか、治験期間中は禁止されている薬剤の服用はないか、有害事象は起こっていないか、一日の中でも変動する痛みをどう評価するのかなど、常に注意が必要です。

グルコサミンの効果が出るまで数ヶ月かかることも…

それだけに、研究に参加する人をインターネットで募集して、その人のバックグラウンドもよく分からない状態の中、自己申請の情報で臨床試験をする手法はどうも納得がいきません。さらに12週間という観察期間はグルコサミンの効果を見るには短すぎます。私のアンケートからも分かるとおり、効果発現に3カ月以上かかったという人も結構いるのです。

 

2005年、カナダのシベール先生の研究を紹介しましょう。グルコサミンを服用している変形性膝関節症の患者さん137人に対し、71人にはグルコサミン1200㎎、66人にはプラセボを飲んでもらい、6カ月の間に起きた強いひざ痛の割合と痛み止めを飲んだ人の割合を両群で比較しました。

 

その結果、強いひざ痛を起こした人、痛み止めを飲んだ人の割合は、グルコサミン、プラセボ両群で差はなかったと報告しています。しかし実はこの研究にも問題があると思っています。

 

まずグルコサミンの特徴として、効果発現までに通常の痛み止めに比べて時間がかかりますが、使用をやめても数カ月はその効果が持続するといわれています。つまりプラセボ群でも最初の数カ月はグルコサミン効果が持続していたことになります。また、グルコサミン群の使用量1200㎎というのは少なすぎであり最低でも1500㎎/日は必要です。

本連載は、2016年6月29日刊行の書籍『その痛みやこわばり、放っておくと危険! ひざに「! 」を感じたら読む本』から抜粋したものです。記載内容は予防医学の観点からの見解、研究の報告であり、治療法などの効能効果や安全性を保証するものではございません。

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南新宿整形外科リハビリテーションクリニック 院長

医療法人清香会理事長、南新宿整形外科リハビリテーションクリニック院長。1989年産業医科大学卒業後、久留米大学整形外科を経て95年渡米、カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。97年からスクリプス研究所に勤務し、主任研究員を務めたのち帰国。2001年10月にハシモトクリニック(12年に南新宿整形外科リハビリテーションクリニックに改称)を開業。09年からは日本医科大学リウマチ外科非常勤講師も務める。日本にグルコサミンを紹介した。

著者紹介

その痛みやこわばり、放っておくと危険! ひざに「! 」を感じたら読む本

その痛みやこわばり、放っておくと危険! ひざに「! 」を感じたら読む本

橋本 三四郎

幻冬舎メディアコンサルティング

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