今回は、グラフ化したP/Lからわかる「労務コスト」の改善点を見ていきます。※本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏の著書、『経営者の財務力を一気にアップさせる本〔補訂版〕』(東峰書房)の中から一部を抜粋し、図を徹底活用した貸借対照表・損益計算書の見方をご紹介します。

P/L面積グラフから見えてくる「労働分配率」

前回で、P/Lも面積グラフで考えてみる、という内容を紹介しました。今回はその図から、労働分配率について考えてみます。

 

労働分配率は、売上総利益に占める、労務費の割合です。計算式で言うと、

 

労務費÷売上総利益×100

 

となります。

 

メーカーや卸・小売・飲食業なら、33%以下に抑えてほしい経営指標です。数値が高まるほど、儲からない収益体質になってゆきます。

 

労務費の内訳は、役員報酬、給料手当、雑給、賞与、法定福利費、福利厚生費、となります。で、図表のグラフをご覧ください。労務費は、“販売費及び一般管理費”の中に含まれます。その中にはいろいろなコストがあります。が、なかでも労務費は、もっとも大きなコストです。

 

【図表 労働配分率は何パーセントか?】

労働配分率(%)= 労務費 ÷ 売上総利益 × 100

(売上総利益に占める、労務費の割合はどれくらいか?)

→ 数字が小さいほど、少ない労務費で大きい売上総利益を稼いでいることになる。

 

 

労働分配率は、数字が小さいほど、良い数字です。小さいほど、「売上総利益」という稼ぐ力(商品力)が大きいのか、「労務費」そのものが小さいのか、の、いずれかなのです。

労務費は、売上総利益の3分の1以下を目安に

売上総利益に対し、どれだけの労務費で収まっているのか、それがつまり、”労働分配率は何%なのか?”ということなのです。図表のグラフの場合、労働分配率は、33%です。

 

この現状の売上高、売上総利益のまま、昇給や、人員増によって人件費が増えると、途端に労働分配率は高まり、悪化します。つまり、営業利益以下の利益を圧迫してゆくのです。

 

一方、この状態から、

 

”IT化によって人員を減らした”

”パート化によって人件費を縮めた”

”商品力を高め売上総利益を増やした”

 

となると、労働分配率は下がり、営業利益は増えます。

 

営業利益は本業の利益であり、キャッシュフロー(カネ回り)の源泉となるものです。ここが少額だったり、マイナスでは、節税などをしても効果はいくらもありません。

 

多くの業種において、最大の経費である労務費を、労働分配率の目線で考えてみてください。労務コストへの課題が見えてくるかもしれませんよ。

 

労働分配率(%)=労務費÷売上総利益×100

労務費は、売上総利益の3分の1以下にしよう! 方法は、労務費を下げるか、売上総利益を増やすか、の2つです。

本連載は、2015年4月30日刊行の書籍『経営者の財務力を一気にアップさせる本〔補訂版〕』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

経営者の財務力を一気に アップさせる本〔補訂版〕

経営者の財務力を一気に アップさせる本〔補訂版〕

古山 喜章,井上 和弘

東峰書房

数字が苦手な人にこそ読んで欲しい! 本書では、会社経営にまつわる数字を読み解き財務力をアップさせる方法を解説します。数字が苦手だからこそとことんわかりやすく理解する方法を見出した筆者。そのノウハウをお伝えし、経…

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