ベトナム不動産投資における「税務面」の留意点

今回は、ベトナム不動産投資における税務面のポイントを見ていきます。※本連載は、I‐GLOCALグループ代表・蕪木優典氏と、弁護士・工藤拓人氏、實原享之氏、グェン・チュン・チャン氏による共著書籍、『これからのベトナムビジネス』(東方通信社)の中から一部を抜粋し、ベトナムの不動産市場の現状と最新のトレンドを紹介します。

家賃収入と売却収入は「ドン」で受け取ることに

最後に、ベトナム不動産投資における税務のポイントについても紹介しておきたい。税務は確実にやっておかないと、送金もできないし後で追徴課税などとられて利益がなくなってしまうので、しっかり対応しておかねばならない。

 

どのような税金がかかるのか、非居住者で買う場合はどうやって払ったらいいのか、運用益や将来売却するときの手続き、その際支払うべき税金や送金方法はどのようなものなのか、相続するときにどんな税金がかかるかなど、疑問・不安も多いことと思う。

 

ベトナム不動産投資のリスクを軽減するポイントとしては、会社で購入すると家賃収入を得ることが禁じられるので、純粋に投資という観点からは個人で購入するようにすることだ。

 

その際、家賃収入と売却収入はベトナムに個人口座を開設し、ベトナムドンで受け取らなければならないことになっているので、このあたりにも注意しておきたい。

海外送金時には「税金を払ったか」を証明する必要も

ベトナムはもともと社会主義国ということもあって、外資送金のハードルが高い国なので、そのほかにもそれなりの制約がある。

 

たとえば、海外送金時には各種税務申告が完了しているかどうかを確認される可能性が高い。銀行などに確認してみると、税金を払っていることの証明書を出した後ならば送金できるとのことだ。

 

税務リスクとしては、納税遅延利息や罰金が非常に高額ということがあげられる。きっちり納税しておかないと、後からごっそりとられてなんのためにやっているのかわからなくなってしまうので、十分に気をつけておきたい。

 

将来の利益を確保するにはどのような税金がかかるかを把握し、投資開始時から申告納税することがポイントとなる。なお、個人の所得税率は5%で、3カ月ごとに申告納税をしなければならないが、固定資産税は形骸的で年数千円程度だ。日本のような高額の固定資産税はないので安心してほしい。

 

VAT(付加価値税)や所得税の管理をどうしていくかが非居住者の悩みになると思うが、そのあたりはぜひとも筆者の会社にお任せいただきたいと思う。

 

VATの申告、レッドインボイスの発行、所得税の納付、納税証明の取得、銀行での送金手続きといったところまで対応できるので、口座だけつくれば万全だ。送金のときもベトナムへ行く必要はなく、委任状を出していただければ対応できる。

 

売却時のポイントは、売却収入をベトナムの個人口座にベトナムドンで入れなければならないということ。今のところ所得税は利益部分ではなくて売却収入全体に2%ということになっており、この部分は日本でも所得税が課されるので、日本側でも税理士などに相談して処理する必要がある。

蕪木 優典

I-GLOCAL(アイ・グローカル)グループ 代表

1972年生まれ。1994年慶応義塾大学経済学部卒業。1996年朝日監査法人(現あずさ監査法人)に入所。2000年アンダーセンベトナム(現KPMGベトナム)に出向し、以来、ベトナムでのビジネスに携わる。同年、日本人で初めてベトナム公認会計士試験に合格し、ベトナム公認会計士登録。2003年ベトナム初の日系資本会計事務所(現I‐GLOCALグループ)創業。2010年、カンボジア初の日系資本会計事務所創業。2011年カンボジア会計士協会に会計士登録。日本、ベトナム、カンボジアを行き来しながら「ワクワク経営」を実践中。

著者紹介

工藤 拓人

弁護士法人キャスト ホーチミン支店代表

1985年生まれ。弁護士法人キャストホーチミン支店代表。日本国弁護士(大阪弁護士会所属)、ベトナム登録外国弁護士。2008年東北大学法学部卒業。2010年神戸大学法科大学院卒業。2011年に弁護士登録し、弁護士法人キャストに参画以来、主に一般企業法務及び日系企業の中国・ベトナム事業の法務サポートを行う。2014年よりベトナムに赴任し、ベトナムにおける日系企業の設立・運営に関して契約書作成検討・労務・税関などの法務に広く携わる。

著者紹介

實原 享之

株式会社I-GLOCAL 代表取締役

公認会計士(米国/ベトナム/カンボジア)。神奈川県横須賀市出身。ベトナム・ホーチミン市在住。2007年神戸大学建設学科卒業。事業会社で営業と経理を経験後、2009年にI‐GLOCALに入社。2010年に日本人としては4人目、外国人として最年少でベトナム公認会計士試験合格。2012年よりベトナム現地法人であるI‐GLOCAL CO.,LTD.の社長に就任。2016年より現職。ベトナムに常駐し、ベトナム・カンボジアへの日系企業の進出とその後の経営管理全般を支援している。

著者紹介

チャン・グェン・チュン

株式会社I-GLOCAL 副社長

1980年生まれ。2000年ホーチミン市工科大学を中退し日本に留学。大阪大学大学院を卒業後、日本の大手ITベンダーを経て、2008年ベトナムに帰国。2009年I‐GLOCAL入社後、主に日系企業のベトナム進出をサポート。現在はI‐GLOCAL経営陣の一員として経営に携わりつつ、多数の日系企業のマネジメントも支援中。

著者紹介

連載ヒートアップする「ベトナム不動産市場」の現状

これからのベトナムビジネス

これからのベトナムビジネス

蕪木 優典・工藤 拓人・實原 享之・チャン・グェン・チュン

東方通信社

ベトナムはドイモイ政策、世界貿易機関(WTO)への加盟を経て、着実に経済成長を遂げ、今後はTPPへの加盟でますます成長するといわれています。現にピーターソン国際経済研究所の調査では、ベトナムの主要輸出品である衣料品の…

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