前回は、姿勢を整えるために重要な「背骨の構造」について説明しました。今回は、からだによい影響を与える「正しい背筋の伸ばし方」について見ていきます。

理にかなっている「背筋を正しく伸ばす」という発想

背骨のカーブを整えるには「背筋の伸ばし方」が大切になります。子どもの頃から「背筋を伸ばしなさい」と、周囲の大人にいわれて過ごしてきた人は多いのではないでしょうか。

 

驚かれるかもしれませんが、「背筋を伸ばすことがなぜ大切であるのか」科学的に考えてみると、実は大変理にかなっています。筋肉の量について見てみると、からだの体幹(頭部と手足を除く胴体部分)にある筋肉のうち、お腹側よりも、背中側のほうにある「伸筋」(関節を延ばすための筋肉)のほうが、約3倍もの厚みになります。

 

したがって、「背筋を正しく伸ばす」ことができると、伸筋の強い力を使えることになり、力みすぎる状態を防げます。また、「背筋を正しく伸ばす」ことができると、腕も伸ばしやすくなります。なぜなら、腕を伸ばすことは伸筋による運動であるからです。

 

さらに、「コアマッスル」(身体の深層部の筋肉)を鍛えることにもつながります。コアマッスルとは首から腰にかけての大きな筋肉です。コアマッスルを使ったり、コアマッスルに働きかけることで、猫背や肩こりなどのトラブルが解消することはよく知られています。

 

つまり、「背筋を正しく伸ばす」ことで、コアマッスルを鍛え、結果的に血流や新陳代謝もよくなります。ほんの少しの意識でからだによい影響を与えられるのです。

「膝を曲げないこと」がエクササイズのポイント

【背筋を伸ばすエクササイズ】

①顔を正面に向けて立ち、胸の前で両手を組み合わせ、手のひらを正面に突き出すよう
に腕を伸ばします。

②そのまま肘を伸ばし、頭の上へ上げます。

③腕を曲げて首の後ろへおろします(手のひらは天井へ向ける)。

④両手を首の後ろでぱっと離し、脱力して両肩の力を抜きます。

 

[図表] 背筋を正しく伸ばすエクササイズ

 

【背筋を伸ばすエクササイズ……寝転んで行う場合】

①仰向けに転びます(枕などは使用しない)。

②「かかとの後ろ」「お尻のトップ」「胸椎のトップ」「後頭部」、これらの4点が1本の線の上にくるように意識をする。

③首、腰の後ろにできる隙間をつぶすようにからだを動かす(ゆっくりと行う)。
(腕は足のほうへ下ろしてもよい。テレビを見ながら、もしくは布団の上などで行って
もよい)

 

この3つのエクササイズは簡単ですから、気軽に続けられるはずです。ポイントは、いず
れも「膝を曲げないこと」です。膝を曲げてしまうと、足が不自然に動いてしまうことになります。

 

「背筋を伸ばすことはこんなに気持ちがよいことなのだな」と感じることができれば、理想的です。

本連載は、2016年2月28日刊行の書籍『1日3分で医者いらず こころとからだを整える「呼吸法」』から抜粋したものです。記載内容は予防医学の観点からの見解、研究の報告であり、治療法などの効能効果や安全性を保証するものではございません。

1日3分で医者いらず こころとからだを整える「呼吸法」

1日3分で医者いらず こころとからだを整える「呼吸法」

丸山 浩然

幻冬舎メディアコンサルティング

頭痛、肩こり、不眠、イライラなどの不定愁訴は、ホルモンバランスの乱れや環境ストレス、精神的ストレスなどにより、自律神経のバランスが崩れることで発症するといわれています。その解決のカギともいえるのが、理論に基づい…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧