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連載アパート経営で「利益最大化」を実現するリフォーム実践法【第5回】

アパートの入居率を高める「広告宣伝費」の使い方

アパート経営リフォーム

アパートの入居率を高める「広告宣伝費」の使い方

前回は、アパート経営で気をつけたい「自己流リフォーム」の落とし穴を紹介しました。今回は、アパートの入居率を高める「広告宣伝費」の使い方を見ていきます。

広告とリフォームは、どちらも入居者獲得のコスト

広告料と言えば、ファンドなどが介入してきたエリアの札幌市、福岡市などが有名です。先述のようにこのエリアでは家賃3、4カ月分の広告料は当たり前です。そのため、今では広告料に対してすっかり悪い印象を持つ方が増えています。

 

しかし、これもすでにご説明した通り、広告料の効果的な使い方を理解すれば、入居率を高められることは間違いありません。

 

現在は、どちらかというと「広告料を出すくらいなら、しっかりとしたリフォームで入居率を高めたい。できれば賃料も上げたい」と考えているオーナーさんが多くなっているように思います。実際に、しっかりとしたリフォームで賃料を上げることに成功している事例も、当社にはあります。

 

ただし、筆者の会社ではしっかりとしたリフォームだけでなく、広告料との比較も非常に重要視しています。これは、リフォームも広告料も入居者を獲得するためのコスト(変動費)という認識だからです。

 

入居希望者を紹介してくれる賃貸仲介の営業マンは、常に報酬額を気にしています。これは毎月厳しい営業成績を求められているためです。極端なことを言えば、どんなにきれいな部屋だとしても報酬が少なければ案内しません。少々汚い部屋でも報酬の高い方に入居希望者を案内します。

 

例えば賃料5万円の部屋があったとして、5万円のリフォームをかけるのと、広告料を5万円増やすのではどちらが高い効果を得られるのか、という考えです。

 

実際に当社の管理物件でも、リフォームをかける選択肢と、リフォームをかけずにリフォーム費用相当額を広告料に充てる選択肢の中で、リフォーム費用の部分を広告料に充てて入居率を高めた事例が数多くあります。

 

賃料5万円、ワンルーム16㎡の物件で、当初広告料は1カ月分に設定し、クロスや軽微な設備追加の簡単なリフォームをする予定でした。しかしリフォーム費用が意外にかさみ、1部屋当たり10万円以上かかることがわかりました。そこで試験的に、リフォームをせず広告料を2カ月分に設定し募集したところ、案内数が増えたおかげで、わずか数日で空室が埋まってしまったのです。

 

オーナーさんにとってみれば、コストが半分(リフォーム費用10万円→広告料の増加分5万円)に抑えられたということです。

 

このように、ただ単にリフォームすればよいということではなく、リフォームした場合と広告料を上げた場合の比較をした上で判断することが重要です。リフォームに効果があると判断すればリフォームにお金をかけ、広告料アップに効果が高いと判断すれば広告料を上げればよいのです(両方が必要な場合もあります)。

 

つまり、広告料とリフォーム費用の比較が重要なのです。あくまでも利益を最大化する視点で支出をコントロールするということです。入居希望者がどの程度の部屋を、どの程度の金額で探していて、賃貸営業マンはどの程度の広告料で入居斡旋をしてくれるかを把握するということです。

 

広告料3ヶ月分の支払いで、1ヶ月で12室が満室に

直近の事例で面白いものがありました。その物件は12室中12室空きという、いわゆる全空き物件でした。場所は板橋区。駅徒歩17分の築古の木造・3点ユニット、広さ12㎡と、入居付けの条件としては厳しい物件でした。

 

早期満室を目指していたため、広告料を3カ月分に設定して募集を開始。初期設定として相場賃料の10%値上げした募集条件としたところ、予想に反して次々と申し込みが入り、1カ月程度で満室となりました。

 

これにはリーシング担当者も驚きを隠せない様子でしたが、後日、入居斡旋をしてくれた営業マンにヒアリングした結果、理由が明らかになりました。

 

営業マン曰く「広告料が3カ月分だからですよ」。広告料以外の要因としてリフォームの状況もあったとは思いますが、わずか1カ月で12室が満室になるのなら、広告料の費用対効果としては十分な結果だったと思います。

 

なお、早期退室の対策として半年以内に入居者が退去となった場合のペナルティーとして、仲介会社・入居者への違約金を契約書に付記しておくべきであると、ここに付け加えておきます。

本連載は、2013年7月2日刊行の書籍『改訂版 空室率40%時代を生き抜く!「利益最大化」を実現するアパート経営の方程式』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

本連載は情報の提供及び学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資・経営(管理運営)の成功を保証するものではなく、本連載を参考にしたアパート事業は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本連載の内容に基づいて経営した結果については、著者および幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。なお、本連載に記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時のものであり、今後、変更されることがあります。

大谷 義武

武蔵コーポレーション株式会社 代表取締役

昭和50年 埼玉県熊谷市生まれ。東京大学経済学部卒業後、三井不動産株式会社に入社。同社にて商業施設(ショッピングセンター)やオフィ スビルの開発・運営業務に携わる。平成17年12月同社を退社し、さいたま市において有限会社武蔵コーポレーション(現在は株式会社)設立。代表取締役に就任。賃貸アパート・マンション(収益用不動産)の売買・仲介に特化した事業を開始する。

著者紹介

武蔵コーポレーション株式会社 常務取締役

昭和52年 東京都葛飾区生まれ。28歳の時に区分所有の物件を購入 し、不動産投資を始める。平成18年創業期の武蔵コーポレーションに入社し、現場責任者として賃貸アパート・マンション(収益用不動産)の売買・ 仲介業務に携わる。特にリフォームに関しての経験は豊富で、現在までに 2000室以上の収益用不動産の再生(リフォーム・改修工事)に携わってい る。再生後の物件入居率は99%を誇る。

著者紹介

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