「資本的劣後ローンを使った債務超過の解消」とは?

今回は、4つの具体的な私的整理の再生戦略の中から、「資本的劣後ローンを使った債務超過の解消」について見ていきます。

既存の債権を別の条件の債権に転換するDDS

③「資本的劣後ローンを使った債務超過の解消」は、DDSと呼ばれる金融上のテクニックを使った会社再生手法です。

 

まず、劣後ローンとは、返済順位が他の債権より低い、無担保の貸出債権のことです。資本的劣後ローンは、劣後ローンの中で資本的な扱いをすることが認められているものを意味します。

 

この再生手法では、既存の債権を別の条件の債権に転換するDDS(Debt For Debt Swap デット・デット・スワップ)を使い、自社の債務を資本的劣後ローンに変え、債務超過を解消するわけです。

 

その結果、図表1のように自社のバランスシートが改善されることになるので、金融機関から一定期間、返済の猶予を受けることが可能となり、資金繰りが安定することになります。また、新規の融資も受けやすくなります。

 

DESの活用も選択肢のひとつに

一方、バランスシートを改善する方法としては、DES(図表2)と呼ばれる手段も選択肢の一つとして考えられます。

 

 

DESとは「Debt Equity Swap デット・エクイティ・スワップ」の略で、負債(デット)を資本(エクイティ)に交換(スワップ)するということです。

 

具体的には、時価で買い取った債権を普通株かもしくは種類株に転換し、企業の債務を圧縮するわけです。債務が株式に変わるので、資本的劣後ローンと同様に、資本が増えることになります。

 

もっとも、DESは、債務が株式に変わる結果、貸し手側に議決権が付与されることになるので、自社の経営に干渉される可能性が高まります。逆にいえば、資本的劣後ローンであれば、経営者は議決権を維持することができます。つまり、DDSを使えば、会社の支配権を失わずに事業の再生を図ることが可能となるわけです。

本連載は、2014年10月25日刊行の書籍『引き継いだ赤字企業を別会社を使って再生する方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

株式会社スペース 代表取締役兼CEO

1954年東京都生まれ。三井不動産販売退職後、祖父が大正12年に中野で創業した「山一不動産」の3代目に就任。バブル崩壊とともに300億円の負債を背負いながら、事業再生に奔走する。1996年「スペース」を創設し、「山一不動産」の営業権譲渡を行うことで、先代からの基盤を守り、社員を切り捨てることなく事業再生させた。現在はこの時の自身の経験を元に、同じような悩みを抱える中小企業経営者の相談に乗り、専門家チームのメンバーとして、ボランティアでアドバイザーも務めている。中野区観光協会準備会メンバー。一般社団法人中野区観光協会監事。

著者紹介

連載引き継いだ赤字企業の「再生」術

引き継いだ赤字企業を 別会社を使って再生する方法

引き継いだ赤字企業を 別会社を使って再生する方法

高山 義章

幻冬舎MC

中小企業の資金繰り悪化の対応策として時限立法として成立した法案、「金融円滑化法」が終了した。 現在のところ、これにより目立った動きはないものの、この先いつ債権者が債権処理に動き出してもおかしくはない。そうなれば…

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