本連載では、マンション管理士である日下部理絵氏の共著、『マンションの建替えがわかる本 円滑化法改正でこう変わる!』(学芸出版社)の中から一部を抜粋し、マンション建替えの基礎知識を解説します。

建てられた時から劣化が始まるマンション

建物全体の汚れ、タイルの剥がれ、デザイン等を見た時に、このマンションも古くなってきたなと思う方が多いのではないでしょうか。

 

それは建物も人間と同じように建てられた時から劣化するためです。人間が健康で長生きするために定期的に健康診断を受け予防や早期治療を行うように、建物も長寿命化するためには、定期的に修繕、設備の更新等を行うことが重要です。

 

この定期的な修繕等に備え、予め計画的な長期修繕計画書を作成し、この計画に基づき、おおよそ10年~12年周期で実施される、高額の費用を伴う大規模修繕や小修繕を必要な時期に実施できるよう修繕積立金を積み立てます。

 

この長期修繕計画と建物状況に応じて実施された修繕等によって長寿命化できるかが決定します。

建物の劣化スピードを抑える日常のメンテナンス

例えば、建物躯体の耐震性が低下すれば人命に関わるため、計画外でも先延ばしできませんし、エレベーターの更新は多額の費用を伴いますが、長期修繕計画の作成年数によっては考慮されておらず、一時金が発生するケースもあります。

 

また、建物の築年数が経過するほど修繕費用が増大するということも考慮しておかなければなりません。他にも劣化を緩やかにするポイントとして、清掃やメンテナンス状況があります。

 

築年数にも関わらず古さを感じさせない建物は、これら日常管理がしっかりと行われているため、劣化スピードが緩やかなのでしょう。実際には、建物の構造、設備の種類、外装材の種類等によって、内容や費用も変わります。

 

また、近年のコンクリート性能や寿命、設備機器の性能、利便性等は飛躍的に進歩しています。将来に渡る費用対効果も考慮しながら、修繕と建替えを検討しましょう。

 

[図表1] 計画修繕・長期修繕計画・修繕積立金の仕組みの運営概念

(出典:『月刊リフォーム』、テツアドー出版)
(出典:『月刊リフォーム』、テツアドー出版)

 

[図表2] 計画修繕・改修の重要性

(出典:国土交通省『マンションの改修・建替え等について』p13)
(出典:国土交通省『マンションの改修・建替え等について』p13)

本連載は、2015年7月25日刊行の書籍『マンションの建替えがわかる本 円滑化法改正でこう変わる!』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。なお、本書をテキストとして最新の内容等をわかりやすく解説する団体「一般社団法人マンション建替支援機構」が2016年10月に設立予定です。マンション建替えについて基礎知識を学びたい方、自身の大切な住まい(資産)について興味関心が高い方、必見の講座(認定制度等)の運営を予定しておりますので、どうぞご期待ください。

マンション建替えがわかる本  円滑化法改正でこう変わる!

マンション建替えがわかる本 円滑化法改正でこう変わる!

日下部 理絵

学芸出版社

旧耐震基準・高経年マンションが続々と建替えに直面するこれからの10年、「改正マンション建替え円滑化法」で何がどう変わるのか? マンション住民・管理組合、管理会社、不動産・建築関係者のための、マンション建替えの基礎…

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