前回は、企業オーナーが理解しておくべき自社株の「評価方法」について説明しました。今回は、株価を引き下げて自社株を後継者に移転する方法を見ていきます。

相続時の負担減にもつながる「相続時精算課税制度」

自社株式の評価額が将来的に上昇する見込みがある場合は、自社株式の暦年贈与にも限界があります。このような場合は「相続時精算課税制度」を利用して、株式評価額の低いうちに後継者に対して一気に自社株を移転してしまうことが効果的です。

 

本制度を選択すると、贈与しても2500万円までの財産には税金がかからず、2500万円を超えても一律20%の贈与税がかかるだけとなります。本制度では、相続発生時に贈与税を精算しなくてはなりません。

 

しかし将来上昇する株式評価額を贈与時の低い評価額で固定できるため、相続時の税負担の増加を抑えることができます。

オーナー社長への「退職金」の支払いで評価額を下げる

本制度での贈与を行う場合、贈与のタイミングで自社株評価を引き下げます。すなわち、直前期に赤字の決算を行って評価額を引き下げた上で贈与を実行するのです。

 

例えば企業オーナーが引退する事業年度に多額の退職金を支払い、その費用計上によって一時的に株価を引き下げた上で株式をまとめて贈与する方法などが効果的です。

 

注意点は、いったん相続時精算課税制度を選択すると、その贈与者については暦年課税制度には戻れないことです。

 

[図表] 企業オーナー向け株式評価額の引き下げ方法

本連載は、2016年7月4日刊行の書籍『超低金利・大増税時代の資産防衛戦略』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

超低金利・大増税時代の 資産防衛戦略

超低金利・大増税時代の 資産防衛戦略

森 秀光

幻冬舎メディアコンサルティング

終わりの見えない超低金利時代。加えて、相続税や所得税の増税、海外資産の捕捉厳格化など、富裕層が持つ資産は国から狙い撃ちにされているのが現状だ。そんな中で大切な財産を守り受け継いでいくには、どうすればいいのか? …

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