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連載不動産投資家が注意したい「契約〜引渡し段階」でのワナ【第8回】

建築スケジュールの遅れを生む「建築業界」の苦しい現状

工期不動産投資

建築スケジュールの遅れを生む「建築業界」の苦しい現状

今回は、厳しい工期と人手不足に苦しむ建築業界の現状を見ていきます。※本連載は、株式会社泉和コーポレーションの代表コンサルタントとして活躍する小林大貴氏の著書『不動産投資で陥る55のワナ』(総合法令出版)の中から一部を抜粋し、不動産投資をしようとする人が陥りやすい「契約〜引渡し段階」でのワナに焦点をあて、失敗事例を通して正しい不動産投資術を学んでいきます。

未だ「震災復興関連工事」に人員が取られている

前回、工期をきつくし過ぎるという話がありましたが、本書執筆時の2015年現在でも、工期の予測は非常に困難な現状が続いています。

 

まだ2020年東京オリンピック関連の工事が本格化していないのでましですが、それでも土木系作業員の方は未だに東北の震災復興関連の工事に人手が多く取られているという現状があります。

 

復興工事やオリンピックの工事などは、国や自治体として行わなければならない工事なので、人件費も普通の民間案件と比べると高めに設定されることがあるようで、民間の仕34事を受けるよりもそちらの公的な工事を優先的に請けたほうが良い、もしくは民間案件でも人件費は公的な工事と同じくらい取れればそちらに人員を回す、と考える建築業者も多いようです。

 

現状では、建築に従事する人員も、東北では増えて他の自治体は軒並み減っているという調査結果も出ています(出所:国土交通省「建設労働需給調査結果」http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo14_hh_000509.html)。

 

そのようなことで、適切な人件費で工程管理をするには、職人の確保が難しい現状があります

 

地元で職人を多く抱えている業者ならば安心なのですが、大体の建築会社は自社で雇用しているのではなく、自営業の職人を現場に呼んでいる場合がほとんどなので、どうしても人員の確保が難しくて工期がずれこんでしまうことがあります。

投資する際は「○年○月完成予定」を鵜呑みにしない

このような事情をわからない一般の方は、「2016年○月完成予定」という資料を鵜呑みにし、「ここで引き渡しがあるんだ!」と思い込んでしまうことがよくあります。しかし、この完成予定スケジュールは守られないことも多いのです。

 

ここで危険なのは、たとえば竣工時期が「2016年1月末完成予定」という新築があったとします。買主としては、ちょうど賃貸の繁忙期と重なるからいいな、と思います。竣工引き渡し後、すぐに募集のピークが来て、そのまま満室・・・というストーリーを思い描く方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

しかし、この工期は保証されているものではありませんし、「この工期が絶対に守られないと契約を解除します」という条項を付け加えることは恐らくできないでしょう。

 

そんな現状で、もし工事が3カ月遅れて「2016年4月末」に完成したとしたら、想定よりも賃貸付に時間や手間がかかってしまうことは仕方がないことです。竣工時期が遅れたことで、家賃収入が減少したとして損害賠償を求めるのは、契約書も竣工「予定」となっている以上は不可能です。

 

竣工が遅れることを想定しておけば、契約の前段階で竣工が遅れたときには計画からずれてしまうから、「もし遅れたら家賃保証などをしていただけるか?」などの交渉をする余地はあるでしょう。

 

相手方としても、「もし自分の過失で工期が遅れた場合には家賃保証」という内容であれば納得できる内容でしょうし、しっかり終われば保証の必要はないのですから、交渉の1つとしては妥当なものだと思います。

 

ただし、竣工時期が繁忙期にかかるなど、特殊な場合のみでしか使えないと思います。たとえば6月の竣工が8月までずれたとしても、賃貸需要にはそこまで影響はないかと思います。

 

書いてある資料を鵜呑みにせず、世相も考慮に入れて検討しましょう。世間が人不足なのに、自分の所だけ「予定通りに、人件費も上げずに行う!」というのは難しい相談なのです。

 

工期は保証されておらず、むしろ職人不足で遅れて当たり前になる現状。予想は柔軟に!

小林 大貴

株式会社泉和コーポレーション 代表コンサルタント

中央大学法学部卒業。大手不動産デベロッパー「住友不動産」総合職出身の不動産投資専門コンサルタント。住友不動産在籍時にはオフィスビル事業・マンション事業・戸建事業・建築管理事業・事業企画などを経験し、在社中に一棟RCを所有。2012年に独立し、「徹底してお客様一人ひとりと向き合うこと」を信条に、個人個人に最適な不動産コンサルティングを行っている。
2013年より不動産投資サイト№1の「不動産投資の楽待」にてコラムを執筆し、総アクセス数30万超を達成。2014年より東京・日本橋にオフィスを出店し、プロのデベロッパーで培った知識と経験を元に自らの投資家目線を合わせた提案を行っている。

著者紹介

連載不動産投資家が注意したい「契約〜引渡し段階」でのワナ

不動産投資で陥る55のワナ

不動産投資で陥る55のワナ

小林 大貴

総合法令出版

不動産投資の市場は、今まさに活況の渦中にある。不動産投資における成功の秘訣を書いたノウハウ本も多く発売されている。大半は不動産投資の成功マニュアルを公開し、「不動産投資をやろう!」「不動産投資はこうやるべき!」…

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