相続・事業承継 相続対策
連載相続対策の成否を左右する「財産の棚卸」の進め方【第7回】

なぜ相続対策では相続税を「債務」と捉えるべきなのか?

債務

なぜ相続対策では相続税を「債務」と捉えるべきなのか?

前回は、返済の見込みがない貸付金を「不良債権」として処理すべき理由を説明しました。今回は、相続対策において相続税を「債務」として捉えるべき理由を見ていきます。

相続税は、死後返済を迫られる「隠れた債務」!?

棚卸をして整理すべきものの中に、不動産や権利関係、保証金や貸付金などがあるということを紹介してきましたが、実は債務として計上してほしいものがもう一つあります。それが相続税です。

 

なぜ債務というのか、それは次のようなことを考えてみればわかりやすいでしょう。

 

例えば千代田区や港区、田園調布もそうですが、高級住宅地に住んでいる人がいたとします。土地も建物も支払いをすべて終えたから、もうすべてが自分のものだと安心しきっているかもしれません。

 

しかし実際にはどうでしょうか。相続が発生すれば、高級住宅地に住むような方は、土地評価額だけでも相当な額になるでしょう。もしかしたら最高税率50%の相続税が課税されることになるかもしれません。

 

すると、その高級住宅地の土地と建物は、実質的に半分は税金として納めることになります。つまり、計算上、半分が国のものといえるわけです。せっかく購入して支払いを終えたにもかかわらず、その価値の半分は税金として国に持っていかれるわけですから、債務と呼んでもいいのではないでしょうか。

 

棚卸をいくら詳細に行っても出てこない、自分が亡くなって初めて返済する必要が出てくる隠れた債務というわけです。このように考えれば、被相続人となる方もきっと「もったいない」と感じ、相続人のために何かしておこうと思えるはずです。

 

相続税対策は、この隠れた債務で財産の50%を持っていかれるところを、もっと少ない比率にしていくという作業です。少しでも残る財産の比率を多くする、そんな努力をしていくわけです。

 

確かに、被相続人の立場からしてみれば、相続税は本人が亡くなってからの問題です。自分の死を前提にして話を進めることなど、あまり気持ちのよいことではないですし、気が進まないのもわかります。

相続税額を試算し、なるべく減らすよう努力を

また、相続税も財産額に応じて課税されるだけで財産以上の額は課税されることはありません。理屈を言えば、いくら相続税を課税されようが払えるのです。そうした考えの下、見過ごされてしまうケースも多いようです。

 

しかし、せっかく積み上げた財産が何もせずに50%も取られるのは見るに忍びなくありませんか。また、家族がせっかく気に入っていた家、自分も一緒に暮らしていた家がなくなるなんて考えただけでも悲しくはないでしょうか。

 

であれば、いっそのこと相続税も債務だと考えるようにし、おおよその額を試算して、その債務をなるべく少なくできるようにすべきです。少しでもいい財産を残せるようにすることが、相続人のその後のためにもなります。

本連載は、2013年8月2日刊行の書籍『相続財産を3代先まで残す方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

廣田 龍介

エクスプレス・タックス株式会社 代表取締役

福島県いわき市出身。昭和60年税理士登録。昭和61年株式会社タクトコンサルティングに入社し、不動産を使った相続税対策の草創期から資産税に携わる。土地は“持つべき資産”から“利用すべき資産”への発想に転換すべきことを早くから提唱。
平成23年1月にエクスプレス・タックス株式会社代表取締役に就任し、個人・法人の資産税を中心とした幅広いコンサルティングおよび講演を行っている。講演では、ケーススタディ方式で易しく解説し、多くのファンを持つ。また、最近では不動産M&A・等価交換事業・法人化対策・家族信託に特化したコンサルティングに力を入れている。

著者紹介

連載相続対策の成否を左右する「財産の棚卸」の進め方

相続財産を3代先まで残す方法

相続財産を3代先まで残す方法

廣田 龍介

幻冬舎メディアコンサルティング

高齢化による老々相続、各々の権利主張、そして重い税負担・・・。現代の相続には様々な問題が横たわり、その中で、骨肉の争いで泥沼にハマっていく一族もあれば、全員で一致団結して知恵を出し合い、先祖代々の資産を守ってい…

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