インドとの包括的経済連携協定(CEPA)に向けて協議を再開

写真:Presidential Secretariat of Sri Lanka


隣国が大国であれば、その距離のとり方に苦心をするのは世界中どこでも同じことなのでしょう。巨大なインドと対峙する島国スリランカにとっても、インドに飲み込まれたくはないが、経済成長のためには付き合いを深くしたいという悩みがあります。インドとの包括的経済連携協定(CEPA)に関するスリランカ国内の議論についてお伝えする本連載。第1回は、両国が締結を目指している包括的経済連携協定(CEPA)について、これまでの経緯をご紹介します。

2008年には合意寸前だったCEPA

スリランカでは、インドと貿易関係が深まることに対して、恐怖や破滅を恐れて反対する人々がいるが、その論理は成り立っているとは言い難い。

 

インドからスリランカへのFTA(自由貿易協定)による輸入は、2000年から2013年に6倍に増加した一方で、スリランカからインドへの輸出は40倍に増加した。政府は、さらにCEPA(包括的経済連携協定)の締結を通じて、サービスや投資の分野においても、この成功を再現させようとしているが、反対派は違う見方をしたがる。

 

そもそもCEPAは2008年に当時のマヒンダ・ラージャパクサ大統領によって締結することになっていた。しかし、インドの労働者がスリランカに溢れ、大量失業がもたらされるという懸念が、小数の財界人から示されると、インドとの交易拡大に反対するロビー活動によって、締結は頓挫してしまった。

 

それから7年が過ぎ、スリランカにおける高度技術職とサービス部門は今、CEPA交渉の再開を控えて活気づいている。2015年3月に、インドのナレンドラ・モディ首相は、約30年ぶりにポーク海峡を渡ってスリランカを訪問し、そこでCEPA交渉の再開を呼びかけたのだ。

メリットを国内に伝え切れないCEPA交渉団

これを契機に、反CEPA・反FTA運動が再び活発になった。輸出業者と製造業者を中心にして、彼らはFTAの失敗がCEPAによってさらに拡大されると主張する。2000年以降、10億米ドル以上にまで増加したインドからの直接投資には反対していないにも関わらず、反対派はCEPAによってスリランカがインドに支配されることが避けられなくなると主張している。

 

しかし、貿易関連のデータを綿密に調査すれば、スリランカからの輸出に関して言えばFTAは成功だったことが分かる。インドとの取引は煩雑で気難しいものかもしれないが、輸出業者の多くは成功を享受している。さらにCEPAには、解決が求められてきたインドの連邦および州のレベルでの関税やその他の非関税障壁への対策を含んでいるのだ。

 

スリランカのCEPA交渉団は、これらの事実や、その他、有利な提案内容を一般に広めようとしてきた。しかし、二国間や多国間での貿易協議の慣習として、特定利益集団による妨害を防止するために、交渉内容の詳細については、伝えることはできないのだ。

 

次回は両国がすでに締結をしているFTAによって、スリランカにとってどんなメリットがあったのかを中心にご紹介します。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年5月に掲載した「The Anti-CEPA Lobby’s Twisted Trade Argument」を、翻訳・編集したものです。

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『ECHELON(エシュロン)』は、スリランカの三大ビジネス誌のひとつ。著名な経営者・ビジネスパーソンのインタビュー記事から、同国の金融・経済・投資・不動産などの最新事情、ラグジュアリーなアイテムやライフスタイル等の記事を幅広く掲載。経営者層やハイクラスなビジネスパーソンなど、同国の物的・知的富裕層を多数読者に抱える。(写真はチェアマンのChanna De Silva氏)

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