「コツコツ生前贈与」を成功させる3つのポイント

前回は、毎年の非課税枠を活用し、相続税をゼロにする方法を説明しました。今回は、「コツコツ生前贈与」を成功させる3つのポイントを見ていきます。

一筋縄ではいかない「生前贈与」

生前贈与が相続税対策として効果的であることには疑いがありません。ただし、実はきちんと実行したつもりでも贈与と認定されないケース、贈与が未成立で相続財産として相続税をより多く課税されるケース、逆に贈与のつもりはなくても贈与とみなされて、高額の贈与税を課税されてしまうケースなど、一筋縄ではいかないのが現状です。

 

非課税枠を積み上げて大きな額を移転するための「コツコツ生前贈与」が、結果的に認められなければ悲劇です。そんなことにならないように、最低限知っておくべき3つのポイントを、最近のトラブル事例を踏まえながら紹介します。

 

ポイント① 毎年、贈与契約書を作る

 

暦年贈与に年間110万円の非課税枠があることは多くの人がご存じです。コツコツ生前贈与の場合は、何年にもわたって少額の贈与を繰り返し、最終的に大きな額を移転することが目的ですが、本当にコツコツ贈与してきたのか証明できなければなりません。

 

10年後に1100万円を贈与完了したとしても、それを本当に毎年の非課税の枠内で行ってきたのか証明する必要があるのです。そうでないと、1年で1100万円を贈与した可能性も否定できないからです。1100万円を1年の間に贈与すれば、271万円の贈与税が課税されます。

 

そこで、毎年贈与したことを証明するための1つの作業として贈与契約書を作成します。生前贈与を10年にわたり、10回実行したなら、10年分で10枚しっかり作成しなければなりません。

 

贈与をするときには、このような契約書が必要だと法的に決められているわけではなく、口頭でも贈与契約は可能です。実際の裁判では、贈与契約書がなくても受贈者が贈与を受ける意思があったということで贈与を認めているケースもあります。

 

しかし、本来は、贈与があったことを第三者にしっかり証明できる体制にしておく必要があります。最悪のケースでは、何年も地道に行ってきた相続税対策の意味がなくなってしまうのですから、多少の手間を惜しまずに贈与契約書を作成しておくべきでしょう。それによって贈与成立の確実性が増します。

 

特に、未成年に贈与をするケースでは、親権者全員の署名捺印が必要なので、要注意です。

贈与者から渡されたお金は、渡された本人が管理を

ポイント② 贈与されたお金の管理は受贈者が行う

 

贈与者が親で、受贈者が未成年などの場合、贈与をしたお金を、親が管理し続けることがあります。しかし民法で記載されているとおり、贈与は受贈者が受諾してはじめて贈与となるので、親側で管理しているとなると、贈与があったかどうか疑われてしまうことになります。

 

子の知らないところで、子名義の預金口座に親が自分の意志でお金を預けているような場合がありますが、これはいわゆる名義預金とされる可能性が高いため、「これでは贈与とはならない」と言われる可能性があります。贈与にはならないということは、相続財産のままであるということなので、十分注意が必要です。

 

国税庁のデータを見ると、平成24年の贈与税の税務調査では、4599件の調査が入り、その中の4152件が申告漏れを指摘されています。確率からすると90%以上で、10件中9件は何らかの指摘があったということになります。

 

贈与者から渡されたお金は、渡された本人が贈与の事実を把握して、その管理も自ら行うようにすることも重要です。

 

ポイント③ 生命保険料の控除を親が行わない

 

親から子に贈与を実行する際に、これから詳しく説明する生命保険を活用する場合があります。親から贈与されたお金を利用して、子の名義で生命保険に加入した場合、年度末に確定申告などでその生命保険料の控除を親の所得税の申告で申請することがあります。

 

年間最大12万円までは所得控除として計上できる(一般生命保険、介護医療保険、個人年金保険の3種類で控除を受けた場合)ので、子の名義のままであったとしても、親の所得税の申告で使ってしまうというケースがあるのです。

 

保険の契約者はあくまで子自身、子が自らの意志で保険に契約したことになるので、確定申告で保険料の控除をすべきなのは原則として子です。

 

保険料の元の出所が親(贈与者)だとしても、すでに現金は子の手元にあり、契約名義は子であるわけですから、その保険料を親が自分で払ったかのように申告をしてしまうと、「贈与はなかった」と認定される可能性があります。

 

保険の契約時に親権者、法定代理人でもある親が同席することはもちろん構いませんが、贈与がなかったかのような事実、親の財産なのではないか?と疑われる行為は慎まなければなりません。

本連載は、2014年10月3日刊行の書籍『相続税をゼロにする生命保険活用術』から抜粋したものです。
本連載資料は、一般的な生命保険活用スキームを示したものであり、データやスキームの正確性や将来性、投資元本の利回りや運用成果等を保証するものではありません。また、本連載は、2014年4月1日現在の法令等に基づいて作成しており、今後変更される可能性もあります。
個別の具体的な法令等の解釈については、税理士等の各専門家・行政機関等に必ずご確認いただくようお願いいたします。掲載されている保険商品のイメージ図につきましては、概算値を表示しています。各スキームの導入時は約款や契約概要、パンフレットを必ずご覧ください。

なお、本連載で示している「契約者」とは、保険料を支出する人で、契約の変更・解約などの権限を持っている人、「被保険者」とは、保険をかけられる人、その対象となる体を提供する人のことをいいます。

(注記)本来、相続税対策においては、保険をはじめとしてさまざまな金融商品・現物資産スキームを組み合わせての対策となりますが、本連載では効果をわかりやすく説明するために、最大限に生命保険を活用したかたちでケーススタディを掲載しています。

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連載相続税をゼロにする「生命保険活用術」

GTAC(ジータック)とは株式会社幻冬舎総合財産コンサルティング(GENTOSHA TOTAL ASSET CONSULTING Inc.)の略称。出版社グループの強みを生かした最先端の情報収集力と発信力で、「中立」「斬新」なサービスを相続・事業承継対策からM&A、国内外の不動産活用といった手法を駆使し、顧客の財産を「防衛」「承継」「移転」するための総合的なコンサルティングを行う。編著・共著に『相続税をゼロにする生命保険活用術』『究極の海外不動産投資』『法人保険で実現する究極の税金対策』『スゴい「減価償却」』(いずれも幻冬舎メディアコンサルティング)など。GTAC公式サイトhttp://gentosha-tac.com/

著者紹介

相続税をゼロにする 生命保険活用術

相続税をゼロにする 生命保険活用術

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

平成27年の税制改正を前に、各種メディアに溢れかえる相続税対策の数々。しかし主流である不動産を使った対策をはじめとして、どれもこれも導入に手間がかかるうえに、投資額を棄損するリスクが高いものばかりです。生命保険な…

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