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連載バミューダの日系運用会社CEOに聞く「CAT債」の仕組みと魅力【第3回】

災害リスクを証券化した「CAT債」の信用リスクと流動性

CAT債自然災害NWB(日本ウェルス)

災害リスクを証券化した「CAT債」の信用リスクと流動性

前回は、災害リスクを証券化した「CAT債」で、実際に元本が毀損する恐れのある災害規模とは、一体どれほどのものなのかをお伝えしました。今回は、このCAT債における「信用リスク」と「流動性」について語っていただきます。 ※本連載は、英領バミューダに拠点を置く運用会社Eastpoint Asset Management Ltd.のCEOである北出公英氏に、CAT債についてお話を伺ったインタビュー記事です。聞き手は、香港の新しい金融機関であるニッポン・ウェルス・リミテッド(NWB/日本ウェルス)のシニア・マネージャー幾田朋彦氏です。

CAT債のコンセプトは「信用リスク」と切り離した運用

幾田 災害とCAT債の関係についてはある程度わかってきましたが、債券である以上は信用リスクとは無縁ではないという事にもなりますでしょうか。

 

北出 CAT債のコンセプトは、自然災害によって損害を被るリスク以外は取らないというのが原則です。例えば100万米ドルをCAT債に投資をする場合、その資金は信託勘定に入れられます。ここに入れられた資金は実際に災害イベントが発生したときに、スポンサーがその資金を回収し、保険の支払いに充てることになります。

 

信託勘定にプールされた資金は信用力の高い国債等で運用されるのが一般的で、特にリーマンショック以降は運用ルールを厳しくするところが多くなったので、無縁というのは言い過ぎですが、信用リスクから極力切り離されていると言って差支え無いと思います。

市場規模の2割は「セカンダリー市場」での取引

幾田 流動性についてお伺いしたいと思います。市場規模から察するに、あまり流動性が高い市場ではないイメージがあるのですが、実際のところはどれくらい頻繁に売買されているものなのでしょうか?

 

北出 正式なデータというのは発表されていないかと思いますが、レポートや我々が独自に把握している規模は、セカンダリー市場で年間50億ドルから60億ドルくらいと見込んでいます。

 

幾田 そうなりますと、市場規模の20%ぐらいがセカンダリー市場で売買されているという事になりますね。

 

北出 はい。私達は通常のCAT債もプライベート(私募)のCAT債も売買していますが、これまでに、運用において支障をきたしたことはありません。

 

幾田 待ちの投資家が多いという先ほどのお話が本当であれば、どちらかと言うと、買いたい時に買えないという事の方が多いのですかね?

 

北出 セカンダリーではあまり無理をして買うという事もないのですが、どちらかと言えばそちらのほうが多いかもしれません。

災害発生後の一定期間に、取引が活発化する場合も

幾田 CAT債について色々と調べておりますと、よく「ライブCAT」と「ディストレスCAT」という言葉が出てきます。これらについてご説明いただけますか?

 

北出 ライブCATというのは、ハリケーンなどCAT債に関連したイベントが発生したものの、規模が元本毀損につながるかどうかを判定・見極め中のCAT債のことです。いわば、元本毀損するかどうかの瀬戸際にあるCAT債ですね。

 

投資家によっては元本毀損を恐れて保有するCAT債を手放す方もいますし、逆にそれがチャンスと見て、積極的に買いに行く投資家もいます。ディストレスCATと言うのは、既に元本毀損は確定しているのですが、その実額がよくわからないというCAT債です。

 

市場コンセンサスからすると全損、あるいは残っても元本の数%という状況で価格が極限まで下がった状態にあるものも多いのですが、そのような状況下でなければつかめないチャンスもあります。

 

幾田 実際に関連する災害が起こり、それが債券の価値に反映されるまでにどれくらいのタイムラグが発生するのでしょうか?

 

北出 ブローカーから出るプライシングシートは週次です。実際には、売買が行われるタイミングで、価格は判明しますので、ほぼ即日織り込まれると言ってよいでしょう。

本稿は、情報提供を目的として、インタビュー時点での経済データ等をもとに個人的な見解を述べたもので、Eastpoint Asset Management Ltd.およびNWBとしての公式見解ではありません。また、特定の金融商品への投資の勧誘を目的とするものではありません。

北出 公英

Eastpoint Asset Management Ltd.  CEO

1967年生、上智大学経済学部卒業。日本及びシンガポール公認保険ブローカー資格保持。2012年に保険リンク証券運用では希少な日本人プロフェッショナル達とともに、英領バミューダにてEastpoint Asset Management Ltd.を設立、CEOに就任。以降バミューダでは、唯一の日系運用会社として保険リンク証券の運用に従事している。著書として、「勝者の保険リスクマネジメント入門」(東洋経済新報社)などがある。

著者紹介

幾田 朋彦

Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank(NWB/日本ウェルス) シニア・マネージャー

2006年より三菱UFJモルガン・スタンレー証券(入社当時は三菱UFJ証券)にてリテール営業、株式、仕組債、商品戦略等の幅広い業務に従事。2011年から2012年にはニューヨークのモルガン・スタンレー・ウェルスマネジメント(当時はモルガン・スタンレー・スミス・バーニー)でマネージド・アカウントをはじめとする米国の富裕層ビジネスの現場で経験を積む。2014年、現職であるNippon Wealth Limitedの商品およびビジネスデベロップメントの責任者として就任。国際基督教大学卒。
WEBサイト https://jp.www.nipponwealth.com/

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