今回は、ベトナムで「アポイント」を取る際のポイントを見ていきます。※本連載は、雑誌やウェブなど幅広い媒体で活動するベトナム在住のフリーライター・古川悠紀氏の著書、『ベトナムとビジネスをするための鉄則55』(アルク)の中から一部を抜粋し、経済成長著しいベトナムの地で、円滑にビジネスを行うために欠かせない知識やヒントを紹介します。

曖昧ではなく、明確に説明すべき「アポイントの目的」

Q.アポイントメント(面会の約束)を取るときに注意をすべきことはありますか?

 

A.11~14時の時間帯の電話は避けましょう。また、アポイントの前日もしくは当日には、必ず確認の電話を入れてください。

 

ベトナムでのアポイントの取り方は、日本とそれほど変わりませんが、相手が日本人ではなくベトナム人の場合は、ベトナム人の考え方や感覚などをよく理解しておくことが大切です。

 

多くの企業では、電話をかけると、まず受付につながります。日本人や管理職以上のベトナム人が電話に取ることはまずありません。受付はベトナム人ですが、たいてい流暢に英語を話しますので、自分の立場を説明し、担当者につないでもらいましょう。

 

こちらが日本人であれば、むげな対応はされません。もし、受付から質問攻めにあったり、うまく担当者につないでもらえなかったりした場合は、こちらもベトナム人スタッフに代わって、やり取りしてもらってください。アポイントの相手が管理職以上のベトナム人の場合は、まずはこちらがどんな事業を行っている会社で、どんな目的で電話をしたのかを明確に説明しなければなりません。

 

また、アポイントを取る理由として、「ごあいさつだけでも」「名刺交換だけでも」といった日本流の曖昧な説明は先方に理解されにくいです。ベトナム人は「なぜ用もないのに名刺交換しなければならないんだ」「自分にどんな利益があるんだ」と考えるでしょう。

アポイントを重要と考えていないベトナム人も・・・

電話をかける際は、11〜14時の時間帯は避けてください。ベトナム人は昼休みを長めに取る傾向にあり、製造業であれば、昼休みの時間が変動するからです。

 

例えば工場勤務の技術者なら、シフトを組んで昼休みをずらして取っていることもありますし、ベトナム人の多くは外に出て食堂で昼食を取りますので、この時間帯は不在のことがほとんどです。

 

アポイントが取れたら、先方に駐車スペースがあるかどうかも併せて聞いておくといいでしょう。ベトナムでは企業はその都度車をチャーターしたり、タクシーを利用したりしますので、会社で車を所有し、なおかつ駐車スペースも備えているところは多くありません。工業団地であれば、駐車場は必ずあるので大丈夫です。

 

また、アポイントの前日、もしくは当日の朝には必ず確認の電話を入れてください。ベトナム人の中にはアポイントをあまり重要と考えていない人もおり、当日にキャンセルされたり、先方の会社に着いてから「忙しくて会えない」と門前払いにされたりした、ということがしばしば起こるからです。

本連載は、2016年6月21日刊行の書籍『ベトナムとビジネスをするための鉄則55』から抜粋したものです。その後の社会情勢等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

ベトナムとビジネスをするための鉄則55

ベトナムとビジネスをするための鉄則55

古川 悠紀

アルク

中国に代わる生産拠点として従来から注目を集めるベトナム。経済成長を続ける人口9000万の若い国は市場としても将来性に富み、日本企業の進出が着実に増えています。本書では、ベトナム人やベトナム社会に関する基礎知識、仕事…

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