今回は、個人経営と法人経営で異なる歯科医院への課税の内容を紹介します。※本連載は、中央税務会計事務所の税理士・中島由雅氏と、株式会社アックスコンサルティングの代表取締役・広瀬元義氏の共著『これ1冊で安心 歯科医院経営のすべてがわかる本』(あさ出版)の中から一部を抜粋し、歯科医院の節税、税務調査対策について解説します。

医療法人の場合、役員報酬等の源泉所得税にも留意

医療法人には、医院の利益に対して年800万円以下の部分は15%、年800万円超の部分は23.9%(平成27年4月1日〜)の法人税が課せられます。

 

法人事業税は自由診療や医療外の物販など雑収入の所得に対して課され、所得を配分する方法などで計算されます。税率は400万円以下5.0%、400万円超6.6%となっています。

 

ただし、個人事業者は社会保険診療報酬から約10%の源泉所得税が天引きされますが、医療法人になると天引きされなくなります。このため毎月の資金繰りが楽になるような気がしますが、納税の時期に一気に納めなくてはならないため、事前に用意しておかなければ資金不足に陥ってしまいます。

 

また、個人事業者のときに預かっていた源泉所得税はスタッフのみでしたが、医療法人になると理事長などの役員報酬の源泉所得税も預かることになり、納付額が増えるので注意が必要です。

スタッフの増員で40万円の控除が受けられる制度も

<節税のポイント>

●生命保険の活用

医療法人で生命保険に加入し保険料の負担をすると、契約内容に応じて保険料を経費に計上することができます。

 

●雇用促進税制

スタッフを2人以上増やした場合、1人につき40万円の税金控除が受けられる。ただし、事前に計画書をハローワークに提出する必要があり、対象歯科医院になるためには一定の条件をクリアしていなければならない。

 

●医療機器の特別償却

一定の医療用機器については、通常の償却に割り増して償却できます。

 

●所得拡大促進税制

給与等支給を規定の割合以上増加させるなどの要件を満たした場合に、給与等支給増加額の10%の税額控除が受けられます。

本連載は、2015年7月1日刊行の書籍『これ1冊で安心 歯科医院経営のすべてがわかる本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

これ1冊で安心 歯科医院経営の すべてがわかる本

これ1冊で安心 歯科医院経営の すべてがわかる本

中島 由雅,広瀬 元義

あさ出版

新規開業の方法、アルバイトに高い売上を上げてもらう手立て、決算書の見方から、税務調査対策まで、歯科医院の経営を成功させるため実務に直結する具体的なアドバイスをお伝えします。 「コンビ二より激しい」といわれる歯科…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧