外貨建て生命保険による相続対策…為替リスクへの対処法

前回は、変額タイプの積立型終身保険を活用した相続対策を解説しました。今回は、相続対策として外貨建て生命保険を活用する際の為替リスクへの対処法を紹介します。

外貨建て生命保険は「為替リスク」のケアが重要

これまでは、定期保険、終身保険など、すべて「円建て」で運用される生命保険でした。ここからは、外貨建てで運用される保険を紹介します。まずは、米国ドル建てのものをご紹介します。図表が保険商品のイメージです。1ドル=118円で計算すると、保険料は毎月約65万円で、支払い期間は10年間です。

 

1ドル=118円のまま推移すると、1年目は約780万円の保険料で死亡保険金は約1億円になるので、レバレッジ効果は約12・8倍です。10年目以降は、約7800万円の保険料で死亡保険金は約1億円ですから、レバレッジ効果は約1・28倍です。2000万円程度を増やして受け取れることになります。しかし、外貨建ての場合には、「為替変動リスク」がありますので、そこをケアすることが最大のポイントになります。

 

・相続時に円高……円ベースでの死亡保険金が減る

・相続時に円安……円ベースでの死亡保険金が増える

 

といった流れになりますので、より死亡保険金を増やして受け取りたい場合には、「円安」を期待することになります。一方、相続財産(相続税の評価額)という観点からすると、

 

・相続時に円高……相続財産評価が減る

・相続時に円安……相続財産評価が増える

 

ということになりますので、相続税額からすると、むしろ「円高」になるほうがよいといえます。

受け取り方を工夫して、為替リスクとうまく付き合う

そこで、「外貨建て保険」は外貨でも受け取ることが出来る仕組みを活用して、円高・円安に動いた場合それぞれで、次のように考えます。

 

<円安に動いた場合>

「円建て」で死亡保険金を受け取る

・死亡保険金も増加。相続財産も増加

 

<円高に動いた場合>

「米ドル建て」で死亡保険金を受け取る

・円建ての死亡保険金は減少しているが、まだ円転していないので含み損の状態

・相続財産は、円建てでの計算のため減少。相続税が低くなる

 

まず、「円安」に動いた場合ですが、円ベースでの資産が増えているので、そのまま円建てで受け取ります。相続財産の評価は上がるものの、それは資産運用によって上がったものです。増やしてわたす典型的な形です。

 

次に、「円高」に動いた場合ですが、円ベースでの資産が減っているので、為替損を表面化させないために、「米ドル建て」で受け取ります。ただ、相続財産評価は円建てで行うことになっていますので、評価が落ちます。そのため、為替損は表面化させずに相続財産は圧縮できるという流れが作れます。米ドル建てで受け取った死亡保険金については、為替が円安傾向になったところで円転します。そうすれば、為替損益についてはリスクを回避し、「相続評価」だけを圧縮できる形にできますので、円安にふれようが円高にふれようが負けのない仕組みを作ることが可能です。

 

外貨というと「為替リスク」がつきものですが、出口の死亡保険金の受け取り方を工夫すれば、為替リスクと上手に付き合うことも可能です。外貨建て保険は、主にその通貨国の国債で運用しますので、円建ての保険よりもレバレッジ効果は高く、ひとつの選択としてぜひ考えたいものです。

 

[図表]終身保険 米ドル建て

本連載は、2015年6月2日刊行の書籍『生命保険で実現する税金ゼロの財産移転』から抜粋したものです。

本連載は、一般的な生命保険活用スキームを示したものであり、データやスキームの正確性や将来性、投資元本の利回りや運用成果等を保証するものではありません。また、本連載は、2015年4月1日現在の法令等に基づいて作成しており、今後変更される可能性もあります。個別の具体的な法令等の解釈については、税理士等の各専門家・行政機関等に必ずご確認いただくようお願いいたします。掲載されている保険商品のイメージ図につきましては、概算値を表示しています。各スキームの導入時は約款や契約概要、パンフレットを必ずご覧ください。

なお、本連載で示している「契約者」とは、保険料を支出する人で、契約の変更・解約などの権限を持っている人、「被保険者」とは、保険をかけられる人、その対象となる体を提供する人のことをいいます。商品パンフレット等で「逓増定期保険」「長期平準定期保険」といった表記がなされていても、税法上の保険種類とは異なる場合があります。本連載では税法に基づいた保険の名称を採用していますので、ご注意ください。

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GTAC(ジータック)とは株式会社幻冬舎総合財産コンサルティング(GENTOSHA TOTAL ASSET CONSULTING Inc.)の略称。出版社グループの強みを生かした最先端の情報収集力と発信力で、「中立」「斬新」なサービスを相続・事業承継対策からM&A、国内外の不動産活用といった手法を駆使し、顧客の財産を「防衛」「承継」「移転」するための総合的なコンサルティングを行う。編著・共著に『相続税をゼロにする生命保険活用術』『究極の海外不動産投資』『法人保険で実現する究極の税金対策』『スゴい「減価償却」』(いずれも幻冬舎メディアコンサルティング)など。GTAC公式サイトhttp://gentosha-tac.com/

著者紹介

生命保険で実現する 税金ゼロの財産移転

生命保険で実現する 税金ゼロの財産移転

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

所得税、相続税、贈与税・・・財産を移転するだけで多額の税金がかかる日本。しかし、生命保険という「箱」を活用すれば、あらゆる税金を回避しながら資産移転ができるのをご存知でしょうか。 本書では、幻冬舎グループの資産…

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