利益の多い会社から少ない会社へ財産を移転する方法

前回は、法人から法人、または個人から法人に財産移転をするケースを紹介しました。今回は、利益の多い会社から少ない会社へ財産を移転する方法を見ていきます。

まず、利益の多い法人名義で50%損金算入の保険に加入

複数の会社を経営している社長またはオーナーが、「利益の多いA法人」から「利益の少ないB法人」へ財産または利益を移したいと考えた場合のスキームを解説します。

 

まず、利益を上げているA法人名義で50%損金算入タイプの保険に入り、年間1000万円の保険料を4年間払い込みます。これを5年目に、利益の少ないB法人に名義変更します。

 

その時点での保険の価値は解約返戻金相当額の720万円なので、B法人はA法人に720万円を支払ってこの保険契約を買い取ります。名義変更はこれまでも説明した通り、書類数枚を書くだけの手続きで完了です。そして、5年目の保険料はB法人が支払い、その後、解約します。

 

これだけのことですが、各法人の財産にどれだけの動きがあったかを見てみましょう。先にB法人からです。B法人は保険の買取価格(解約返戻金相当額)720万円と5年目の保険料1000万円の支出で、解約返戻金4750万円を受け取ります。

 

これは単純に、1720万円の投資に対して3470万円の利益があったのと同じことです。会社の通常業務でこれだけの利益を短期で上げることは、なかなか難しいでしょう。

加入4年目で、利益の少ない法人に名義を変更

一方、A法人の経理処理は、支出が1~4年目の保険料(50%損金算入)2000万円、回収額が保険の売値720万円なので、1280万円の損失が出ます。この分の利益が圧縮されます。4000万円の支出に対して、4年間で合計3280万円の損金処理ができることとなります。

 

仮に、A法人が名義変更を行わず、5年目が経過して解約した場合、4750万円がA法人へ入ってきてしまい、約50%が利益計上されます。何も対策を打たなければ、これまで繰り延べてきた課税が表面化し、かつ保険会社に5%差し引かれてしまいます。

 

しかし、4年目でB法人に名義変更すれば、A法人では利益を計上することはなく、5年間で支払保険料の総額82%分を損金に算入して終わりです。

 

さらに、名義変更をした場合、5年目経過時にB法人が解約をして解約返戻金を受け取ると、B法人で3530万円の利益計上(雑収入)となりますが、B法人が3530万円の赤字の会社であれば、この利益計上は相殺され、新たな法人税等の負担はありません。

 

3530万円の赤字がなくても、税引き前利益(所得)が800万円以下の場合は、法人税率が15%などと優遇されているため、低税率で法人税を支払って終わりにできます。

 

まとめると、A法人からB法人へ生命保険を活用して財産移転をすることで、次のような可能性が出てきます。

 

●A法人の利益を圧縮できる(法人税等を軽減できる期待がある)

●B法人の財務状況が改善され、銀行融資の期待などが出てくる

●B法人が赤字であれば、解約返戻金分と相殺できる

 

なお、同族会社の行為計算の否認や、グループ法人税制に注意する必要があります。

 

[図表]名義変更の実態(A法人→B法人)

本連載は、2015年6月2日刊行の書籍『生命保険で実現する税金ゼロの財産移転』から抜粋したものです。

本連載は、一般的な生命保険活用スキームを示したものであり、データやスキームの正確性や将来性、投資元本の利回りや運用成果等を保証するものではありません。また、本連載は、2015年4月1日現在の法令等に基づいて作成しており、今後変更される可能性もあります。個別の具体的な法令等の解釈については、税理士等の各専門家・行政機関等に必ずご確認いただくようお願いいたします。掲載されている保険商品のイメージ図につきましては、概算値を表示しています。各スキームの導入時は約款や契約概要、パンフレットを必ずご覧ください。

なお、本連載で示している「契約者」とは、保険料を支出する人で、契約の変更・解約などの権限を持っている人、「被保険者」とは、保険をかけられる人、その対象となる体を提供する人のことをいいます。商品パンフレット等で「逓増定期保険」「長期平準定期保険」といった表記がなされていても、税法上の保険種類とは異なる場合があります。本連載では税法に基づいた保険の名称を採用していますので、ご注意ください。

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連載生命保険を活用した「税金ゼロ」の資産移転術

GTAC(ジータック)とは株式会社幻冬舎総合財産コンサルティング(GENTOSHA TOTAL ASSET CONSULTING Inc.)の略称。出版社グループの強みを生かした最先端の情報収集力と発信力で、「中立」「斬新」なサービスを相続・事業承継対策からM&A、国内外の不動産活用といった手法を駆使し、顧客の財産を「防衛」「承継」「移転」するための総合的なコンサルティングを行う。編著・共著に『相続税をゼロにする生命保険活用術』『究極の海外不動産投資』『法人保険で実現する究極の税金対策』『スゴい「減価償却」』(いずれも幻冬舎メディアコンサルティング)など。GTAC公式サイトhttp://gentosha-tac.com/

著者紹介

生命保険で実現する 税金ゼロの財産移転

生命保険で実現する 税金ゼロの財産移転

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

所得税、相続税、贈与税・・・財産を移転するだけで多額の税金がかかる日本。しかし、生命保険という「箱」を活用すれば、あらゆる税金を回避しながら資産移転ができるのをご存知でしょうか。 本書では、幻冬舎グループの資産…

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