生命保険の活用で「自社株の評価額」を大きく下げる方法

前回は、後継者以外の相続人に渡った自社株を「会社が買い取る」方法を説明しました。今回は、生命保険の活用で「自社株の評価額」を大きく下げる方法を紹介します。

まとまった額を生命保険に投資し、一気に評価を減らす

これまでは「後継者や相続人に負担させることなく、会社の資産で相続税の納税資金を準備する」ことをテーマに解説してきました。

 

ここでは、「相続の発生前」に「自社株の評価を下げる」という切り口でスキームを紹介していきます。自社株の評価が下がれば、より少ない税負担で資産を移転することが可能になります。

 

自社株の評価方法には、「純資産価額」「類似業種比準価額」「配当還元価額」の3つがあります。企業の規模などや従業員数等のさまざまな要素で、いずれの評価方法を採用するか、または2つ以上の評価方法の組み合わせで行うかが決まります。ここでは、純資産価額の評価方法を採用する場合に、よく利用される仕組みを紹介します。

 

純資産価額は、評価会社の課税時期における資産から負債および評価差額に対する法人税額等相当額を控除して求めます。早い話が、資産が多くあって負債が少なく、過去の内部留保が蓄積されていれば株の評価額が高くなります。そこで、生命保険を使って資産を小さく評価できるようにします。

 

生命保険の価値は、「解約返戻金相当額」がそのまま当てはまります。支払った生命保険料がいくらか、保障額がいくらかなどに関わらず、解約返戻金がゼロ円なら、その保険の価値はゼロです。

 

現在、日本にあるほとんどの保険会社では、生命保険の1年目の解約返戻率は0%になっています。つまり、加入した瞬間に、資産価値を一気に「0」にしてしまえるのです。

 

これを利用して、10億や20億など、まとまった額をドカンと生命保険に投資し、一気に資産を減らして、自社株の評価を下げます。そして、株の評価額が小さいタイミングで生前贈与などを行い、後継者に株を移転します。

 

株の贈与では、贈与税がかかりますが、何も対策を講じない場合に比べれば、大幅に自社株の評価がダウンし、自社株に対する相続税も大きく減らす効果が期待できます。

 

自社株の評価を下げ、株を譲渡や贈与で移転した後は、保険料を支払い続けて、そのまま維持します。数年すると、解約返戻率が上昇していきますので、それが一番高くなるタイミングを待って解約すれば、資金を回収できます。

自社株の評価額が下がったタイミングで株の贈与を行う

次のような保険商品で一連の流れをおさらいしておきましょう。以下の図表をご覧ください。

 

[図表]自社株の評価を下げる(純資産価額)

 

1年目の解約返戻率が0%なので、初年度の保険料1億円を支払った瞬間に、資産価値が0円に落ちます。それに引きずられる形で、自社株の評価額が下がります。このタイミングで後継者に株の贈与を行うと、税負担が軽くて済みます。ちなみに、このような例では、相続時精算課税制度を利用することが一般的です。

 

その後は、2~5年目と毎年1億円の保険料を支払い続けます。そして、5年経過時に解約返戻率が95%に上がりきったところで解約します。すると、解約返戻金4億7500万円が回収できます。

 

ちなみに、保険商品によっては100%損金、50%損金など、法人が支払う保険料の損金算入ができ、法人の利益圧縮が期待できる商品もあります。

本連載は、2015年6月2日刊行の書籍『生命保険で実現する税金ゼロの財産移転』から抜粋したものです。

本連載は、一般的な生命保険活用スキームを示したものであり、データやスキームの正確性や将来性、投資元本の利回りや運用成果等を保証するものではありません。また、本連載は、2015年4月1日現在の法令等に基づいて作成しており、今後変更される可能性もあります。個別の具体的な法令等の解釈については、税理士等の各専門家・行政機関等に必ずご確認いただくようお願いいたします。掲載されている保険商品のイメージ図につきましては、概算値を表示しています。各スキームの導入時は約款や契約概要、パンフレットを必ずご覧ください。

なお、本連載で示している「契約者」とは、保険料を支出する人で、契約の変更・解約などの権限を持っている人、「被保険者」とは、保険をかけられる人、その対象となる体を提供する人のことをいいます。商品パンフレット等で「逓増定期保険」「長期平準定期保険」といった表記がなされていても、税法上の保険種類とは異なる場合があります。本連載では税法に基づいた保険の名称を採用していますので、ご注意ください。

GTAC(ジータック)とは株式会社幻冬舎総合財産コンサルティング(GENTOSHA TOTAL ASSET CONSULTING Inc.)の略称。出版社グループの強みを生かした最先端の情報収集力と発信力で、「中立」「斬新」なサービスを相続・事業承継対策からM&A、国内外の不動産活用といった手法を駆使し、顧客の財産を「防衛」「承継」「移転」するための総合的なコンサルティングを行う。編著・共著に『相続税をゼロにする生命保険活用術』『究極の海外不動産投資』『法人保険で実現する究極の税金対策』『スゴい「減価償却」』(いずれも幻冬舎メディアコンサルティング)など。GTAC公式サイトhttp://gentosha-tac.com/

著者紹介

連載生命保険を活用した「税金ゼロ」の資産移転術

生命保険で実現する 税金ゼロの財産移転

生命保険で実現する 税金ゼロの財産移転

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

所得税、相続税、贈与税・・・財産を移転するだけで多額の税金がかかる日本。しかし、生命保険という「箱」を活用すれば、あらゆる税金を回避しながら資産移転ができるのをご存知でしょうか。 本書では、幻冬舎グループの資産…

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