生命保険を活用して「相続税の納税資金」を法人で準備する方法

前回は、「税金ゼロ」の事業承継が可能である理由を説明しました。今回は、生命保険を活用して「相続税の納税資金」を法人で準備する方法を見ていきます。

保険契約を、相続発生直前に社長個人に名義変更する

事業承継スキーム① 掛け捨て保険の名義を相続発生直前に書き換える

 

まず、「生命保険の名義変更の仕組みを用いて、相続税の納税資金を法人で準備する」という、最もシンプルな形を紹介します。基本の流れとしては次のようになります。

 

①法人契約で掛け捨ての死亡保険に入る(法人で保険料を支払う・保険料は100%損金扱い)

②相続発生直前に契約の名義を、社長個人に変更する

③相続が発生し、社長の家族等(相続人)が「個人」で死亡保険金を受け取る

④家族等は、その保険金を使って相続税を納税する

 

①の段階では、社長を被保険者にして、法人契約で保険に入るため、社長が死亡した場合には、法人に死亡保険金が入ってきます。

 

死亡保険金は「全額雑収入」として利益に計上されるため、会社の利益と現金が膨れ上がります。また、会社に支払われた死亡保険金を相続人が相続税の納税資金として使用することはできません。

 

そこで、この保険契約を相続発生の直前に社長個人に名義変更(譲渡)します。そうすると、「法人」で保険金を受け取る契約だったものが、「個人」で受け取れる契約に変わり、個人はそれを相続税の納税資金に充てられるようになります。

 

では個人へ名義変更(譲渡)した場合に、どのようなルールが適用されるのでしょうか。法人から個人へ名義変更する場合には、「解約返戻金相当額」が譲渡対価となります。掛け捨て保険は常に解約返戻金が「ゼロ」のため、譲渡の対価は「ゼロ」です。

 

つまり、「経理処理なく」譲渡ができるわけです。法人が、これまでに1000万円、1億円、10億円と保険料を支払ってきても、個人は実質「タダ」で買い取ることが可能です。

 

この方法を活用すれば、法人から個人へ、実質的に無税で資産が移転したことになり、相続税の納税資金を法人のお金で準備することができます。これを保険業界の一部では「ゼロ変スキーム」と呼んだりもします。

「名義変更のタイミング」と「保険期間」に要注意

事例で確認してみましょう。今回、社長死亡時の保障が5億円、年間の保険料が600万円(月額50万円×12ヶ月)の「期間10年」の掛け捨て死亡保険を想定します。その掛け金は100%損金に算入され、解約返戻率は常に0%です。

 

たとえば相続の発生直前に、法人から社長個人に保険の名義を変更すると、譲渡対価はゼロですので、名義変更に課税等は発生しません。

 

そして、社長が死亡すると、社長が指定した遺族(保険金受取人)に5億円の死亡保険金が支払われます。結果、遺族は1円も保険料を支払うことなく、5億円を受け取れて、これを原資として相続税を納めることができます。ここまでまとめると、

 

●法人では保険料を100%損金算入できる

●個人へはいつでも無税で契約を譲渡できる

●個人は1円も用意することなく資金が手に入る

 

となります。

 

注意しなければいけないのは、「名義変更のタイミング」と「保険期間」の問題です。名義変更は相続発生前にすることとなりますが、死亡時期は誰にも予想できません。明日にでも事故で死亡するかもしれないのです。

 

そこで、多くの会社は、年間保険料を払ったら一度名義を個人に変更しておきます。そして、1年間は個人契約のままにして、特段何もなければ再度2年目になる前に、法人に名義を戻します。そして、2年目の保険料を法人で支払って、再度個人に名義を変更します。

 

こういったやりとりを繰り返し、保険料を支払うとき以外は個人という形をとるようにしておくのです。保険の名義変更は、基本的に何度でも可能です。手間はかかりますが、こうしておけば個人が保険金を受け取れる可能性を高められます。

 

次に、「保険期間」です。今回の事例では「定期保険」と呼ばれる期間限定の保険を使っています。期間限定ですから、1日でも期間を経過した場合には、死亡保険金がもらえません。

 

そのために、「期間の延長」という制度の利用もあります。延長できる期間はそれぞれですが、たとえば5年延長し、その間の保険料を支払えば、死亡保険金5億円が受け取れます。期間延長は可能な保険会社とそうでない保険会社がありますので、要確認です。

 

[図表]掛け捨て保険の名義変更

本連載は、2015年6月2日刊行の書籍『生命保険で実現する税金ゼロの財産移転』から抜粋したものです。

本連載は、一般的な生命保険活用スキームを示したものであり、データやスキームの正確性や将来性、投資元本の利回りや運用成果等を保証するものではありません。また、本連載は、2015年4月1日現在の法令等に基づいて作成しており、今後変更される可能性もあります。個別の具体的な法令等の解釈については、税理士等の各専門家・行政機関等に必ずご確認いただくようお願いいたします。掲載されている保険商品のイメージ図につきましては、概算値を表示しています。各スキームの導入時は約款や契約概要、パンフレットを必ずご覧ください。

なお、本連載で示している「契約者」とは、保険料を支出する人で、契約の変更・解約などの権限を持っている人、「被保険者」とは、保険をかけられる人、その対象となる体を提供する人のことをいいます。商品パンフレット等で「逓増定期保険」「長期平準定期保険」といった表記がなされていても、税法上の保険種類とは異なる場合があります。本連載では税法に基づいた保険の名称を採用していますので、ご注意ください。

GTAC(ジータック)とは株式会社幻冬舎総合財産コンサルティング(GENTOSHA TOTAL ASSET CONSULTING Inc.)の略称。出版社グループの強みを生かした最先端の情報収集力と発信力で、「中立」「斬新」なサービスを相続・事業承継対策からM&A、国内外の不動産活用といった手法を駆使し、顧客の財産を「防衛」「承継」「移転」するための総合的なコンサルティングを行う。編著・共著に『相続税をゼロにする生命保険活用術』『究極の海外不動産投資』『法人保険で実現する究極の税金対策』『スゴい「減価償却」』(いずれも幻冬舎メディアコンサルティング)など。GTAC公式サイトhttp://gentosha-tac.com/

著者紹介

連載生命保険を活用した「税金ゼロ」の資産移転術

生命保険で実現する 税金ゼロの財産移転

生命保険で実現する 税金ゼロの財産移転

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

所得税、相続税、贈与税・・・財産を移転するだけで多額の税金がかかる日本。しかし、生命保険という「箱」を活用すれば、あらゆる税金を回避しながら資産移転ができるのをご存知でしょうか。 本書では、幻冬舎グループの資産…

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