保険を使って法人から「社長個人」へ財産を移転する方法

前回は、相続対策をしないことで発生する様々なコストを紹介しました。今回は、法人から「社長個人へ」財産を移転する方法を見ていきます。

会社のお金を自分名義にすると、多額の税金がかかる

財産移転には、主に以下の四つのパターンがあります。

 

①法人から個人へ

②法人から法人へ

③個人から法人へ

④個人から個人へ

 

では、①の法人から社長個人への財産移転を行ったとき、一般的な方法では「手残り」がどれくらいになるかを確認しておきましょう。

 

法人から社長個人へ財産を移転する一般的な方法は、大きく分けて次の三つです。

 

1:社長個人に「役員報酬」として支払う

2:社長個人に「役員賞与」として支払う

3:社長個人に「退職金」として支払う

 

これら以外にも、たとえば法人のお金を社長個人に貸し付ける方法なども思い浮かびますが、この場合、社長個人は最終的に借りた分を法人に返さなければならないので、財産移転とは少し異なります。

 

では、この1~3の方法で財産移転をした場合に、それぞれどの程度の税金が課せられるのでしょうか。

 

まず1の「役員報酬」として支払うケースを考えてみます。役員報酬は社長個人の所得税・住民税の対象となります。一定以上の金額を超えると、最大で合わせて55%の税率で課税されます。

 

たとえば1億円を役員報酬として支払い、各種控除を引いた後の実質の合算税率が50%だとすると、5000万円が課税され、手残りは5000万円となってしまいます。また、役員報酬にはルールがあり、それを守らないと本来「経費」として計上できる役員報酬が経費として認められなくなる可能性もあります。

 

次に2の「役員賞与」ですが、これも、所得税・住民税の扱いとしては、役員報酬と同様です。ただ、役員賞与は役員報酬と違い、原則として法人の損金(経費)として認められません。会計上は経費であるものの、税金の申告上は損金不算入ということになっています。

 

例外として、「事前確定届出給与制」といって、一定の期日までに税務署に届出を出し、その通りに支給して実施すれば、役員賞与も損金に算入することが可能になります。しかし、事前にはなかなか決めづらいのではないでしょうか。

 

最後は3の退職金として支払う方法で、勇退退職金というくくりで説明します。退職金は、原則、役員報酬や役員賞与と違って、その他の収入とは分けて課税される「分離課税」の対象となります(他の一部の所得に損失がある場合、最終的な損益通算は可能)。

 

退職金にかかる税金には「退職所得控除」があり、一定額を退職金の金額から差し引くことができます。そのため、仮に所得税・住民税の合計で55%の税率が適用されたとしても、税額計算のベースとなる金額が下げられた状態になっているので、最終的な税額は「役員報酬」「役員賞与」よりもかなり低くなることが一般的です。

 

退職金については適正額ならば法人の損金にもなり、その分法人税等を抑えられる期待があるため、法人から社長個人に財産を移転する方法としては、もっともスタンダードな手法として知られています。

 

[図表]退職所得の計算式

適正額を超えると損金にできない「退職金による移転」

ただし、退職金には「適正額」があり、一定の金額までしか税務上損金にすることはできないのです。また、退職金という性質上「移転の時期がかなり先」になってしまうことがあるため、

 

●税法で認められている以上の多額の退職金を支給したい

●20年、30年先でなく、5年、10年で移転させたい

 

といった場合、十分な活用ができないのです。つまり、「なるべく早く、多くの移転をしたい」と考えたときに、退職金だけでは対応しきれません。

本連載は、2015年6月2日刊行の書籍『生命保険で実現する税金ゼロの財産移転』から抜粋したものです。

本連載は、一般的な生命保険活用スキームを示したものであり、データやスキームの正確性や将来性、投資元本の利回りや運用成果等を保証するものではありません。また、本連載は、2015年4月1日現在の法令等に基づいて作成しており、今後変更される可能性もあります。個別の具体的な法令等の解釈については、税理士等の各専門家・行政機関等に必ずご確認いただくようお願いいたします。掲載されている保険商品のイメージ図につきましては、概算値を表示しています。各スキームの導入時は約款や契約概要、パンフレットを必ずご覧ください。

なお、本連載で示している「契約者」とは、保険料を支出する人で、契約の変更・解約などの権限を持っている人、「被保険者」とは、保険をかけられる人、その対象となる体を提供する人のことをいいます。商品パンフレット等で「逓増定期保険」「長期平準定期保険」といった表記がなされていても、税法上の保険種類とは異なる場合があります。本連載では税法に基づいた保険の名称を採用していますので、ご注意ください。

GTAC(ジータック)とは株式会社幻冬舎総合財産コンサルティング(GENTOSHA TOTAL ASSET CONSULTING Inc.)の略称。出版社グループの強みを生かした最先端の情報収集力と発信力で、「中立」「斬新」なサービスを相続・事業承継対策からM&A、国内外の不動産活用といった手法を駆使し、顧客の財産を「防衛」「承継」「移転」するための総合的なコンサルティングを行う。編著・共著に『相続税をゼロにする生命保険活用術』『究極の海外不動産投資』『法人保険で実現する究極の税金対策』『スゴい「減価償却」』(いずれも幻冬舎メディアコンサルティング)など。GTAC公式サイトhttp://gentosha-tac.com/

著者紹介

連載生命保険を活用した「税金ゼロ」の資産移転術

生命保険で実現する 税金ゼロの財産移転

生命保険で実現する 税金ゼロの財産移転

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

所得税、相続税、贈与税・・・財産を移転するだけで多額の税金がかかる日本。しかし、生命保険という「箱」を活用すれば、あらゆる税金を回避しながら資産移転ができるのをご存知でしょうか。 本書では、幻冬舎グループの資産…

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