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連載大増税時代に大損しない「不動産の売却」まで見据えた相続税対策【第4回】

「現金の確保」に着目した不動産活用による相続税対策

賃貸不動産出口戦略

「現金の確保」に着目した不動産活用による相続税対策

前回に引き続き、節税対策としては、新築物件よりも中古物件のほうが有利となる理由を見ていきましょう。今回は、賃貸不動産の稼働時から、売却までのシミュレーションを紹介します。

満室稼働している中古物件を購入し、家賃収入を得る

STEP② 賃貸不動産の稼働時の収支

 

前回の続きです。下記の図表1をご覧ください。

 

[図表1]賃貸不動産所有時のシミュレーション

 

前提として満室稼働の中古物件を購入したので、購入時の2013年から2023年までの10年間、ほぼ変わらず満室稼働していくこととします。

 

家賃収入は1320万円と、毎年固定とします。そして、管理委託費から支払利息までのランニングコストが約544万円。個人所有ですので実効税率30%の所得税・住民税を支払います。

 

そこから、借入の元本返済額384万円を引くと、約224万円。つまり、毎年家賃収入で現金約224万円が増加します。これが10年続くと、借入金残高が1億5560万円、現金増加額が約2242万円となります。この途中で相続が発生しても、賃貸不動産を所有した時点で相続税額は最小限にまで抑えられているはずですから、納税に窮することはありません。

 

このようにして相続を切り抜けられる状態を完成させておいて、その中で賃貸不動産の収入で現金が作られていくことになります。これが、賃貸不動産を使った相続税対策です。

 

法人でも同様の手順となりますが、法人の場合は連載大増税時代に大損しない『不動産を活用した相続税対策』」で述べたように、家賃収入として得た所得を役員報酬として相続人に分散していくことや、生命保険などを活用して、さらなるメリットを享受することも可能です。

購入して10年で売却すれば「初期投資分の回収」も可能

STEP③ 不動産の売却

 

相続を切り抜け、不動産賃貸業で現金を増加させたら、満を持して売却します。下記の図表2をご覧ください。

 

[図表2]賃貸不動産売却時のシミュレーション

 

よほどのことがない限り、満室稼働していた物件は10年後も同様に稼働していますから、購入価額の9割で売買できたと想定します。売却価額は約1億9630万円です。

 

売却価額から、譲渡経費と土地・建物の取得費を差し引くと、マイナスになるので譲渡所得に対する課税はありません。そうしますと、売却価額から、譲渡経費と残りの借入金1億5560万円を差し引き、自己資金が3200万円ありましたから、それを差し引いて手元に残ったプラスのお金は約247万円となります。

 

家賃収入で手元に残ったプラスのお金が約2242万円と、売却によって得たプラスのお金約247万円を合計すると約2490万円です。最初の自己資金3200万円に対し、10年利回りが77.8%となります。年利にすれば、実質7.78%です。

 

仮に満室稼働ができなくなって家賃収入が1割減り、累計の現金増加額が132万円ほどに減ったとします。すると、手元に残る現金が約92万円減少しますが、もともと支払利息や借入金の返済ができたうえでの現金の増加ですので、支障をきたすことはありませんし、効果にさほど大きな違いは生じません。

 

相続税が大幅に減額でき、不動産を購入した初期投資分は丸々戻り、さらに年利7.78%の現金増加が見込めるわけです。きちんと稼働する物件さえ選べば、何ら躊躇する必要はなく「やらない手はない」と私は考えます。

本連載は、2013年11月27日刊行の書籍『大増税時代に大損しない相続税対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

北村 英寿

北村税理士事務所 代表
税理士(東京税理士会麻布支部所属)
TKC全国会資産税対策研究会 会員 

1971年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学卒業後は東京都港区の藤浪会計事務所に所属、資産税を中心としたコンサルティング業務に従事。六本木ヒルズや白金プラチナタワーなどの再開発案件にも携わる。2005年より早稲田大学大学院会計研究科にて租税法の大家である品川芳宣教授に師事。2007年、北村税理士事務所を開設。現在は相続税対策・申告や、顧問税理士業務を中心に行う。

著者紹介

連載大増税時代に大損しない「不動産の売却」まで見据えた相続税対策

大増税時代に大損しない相続税対策

大増税時代に大損しない相続税対策

北村 英寿

幻冬舎メディアコンサルティング

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