前回は市街化調整区域にある土地について、どのように処分するべきか説明しました。今回は、山林の処分について見ていきましょう。

市街化調整区域の山林は特に処分が難しい

市街化調整区域に所有している土地が山林の場合には、施設が建てにくいので、農地に比べて処分することが難しいかもしれません。


たとえば、老人ホームを建てることを想定すると、山林という環境自体は自然が豊かであり高齢者にとって好ましいかもしれませんが、道路、上下水道等のインフラの整備が大きな課題となります。山林の多くは獣道のような自然道しかないので、老人ホームまでアクセスできるような自動車道を整えるだけでも、相当のコストを要することが予想されます。


そのようなコスト負担を考えると、業者の購入対象からは外されてしまう可能性が高いでしょう。

自治体へ売却することで「評価額以上」にはなるはず

そこで山林については、民間ではなく〝公〞に購入をもちかけてみてはいかがでしょうか。都市近郊の自治体の中には、緑地保全に力を入れており、そのための予算を特別枠として用意しているところもあります。


たとえば横浜市では、現在、里山の風景を後世に伝えていくことや生物の多様性を維持することなどを目的とした「つながりの森構想」とよばれるプロジェクトを行っています。その一環として、対象エリア内にある山林については、市が前向きに購入を進めています。


もし、地元の自治体で同様の政策を実施しているのであれば、市当局と交渉して、不要な山林を売り渡してしまいましょう。役所相手の売却なので価格はそれほど期待できませんが、それでも相続税の評価額以上で売れるはずです。

 

そのまま持ち続けて、いたずらに多額の相続税を払うことに比べれば、合理的な選択といえるのではないでしょうか。

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    本連載は、2014年1月31日刊行の書籍『相続財産を守りたければ不要な土地は片付けなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    相続財産を守りたければ 不要な土地は片付けなさい

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    小池 誠一郎

    幻冬舎メディアコンサルティング

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