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連載不動産投資家が注意したい「契約〜引渡し段階」でのワナ【第4回】

手数料欲しさに順番無視で「自分の客を優先する」悪質業者の事例

契約不動産仲介会社

手数料欲しさに順番無視で「自分の客を優先する」悪質業者の事例

今回は、非常に悪質な不動産仲介業者のケースを紹介します。※本連載は、株式会社泉和コーポレーションの代表コンサルタントとして活躍する小林大貴氏の著書『不動産投資で陥る55のワナ』(総合法令出版)の中から一部を抜粋し、不動産投資をしようとする人が陥りやすい「契約〜引渡し段階」でのワナに焦点をあて、失敗事例を通して正しい不動産投資術を学んでいきます。

いつまで経っても契約日が決まらない理由とは?

これは、2015年春現在でも横行している非常に悪質な手段です。どちらかというと、業者としての矜持に反するような事例です。筆者も実際に巻き込まれたことがありますが、あまりにも自分勝手な業者側の言い分に、怒りで身が震える思いをした記憶があります。

 

これも、具体例を交えて話していきましょう。Aさんがとある投資物件を気に入り、買付を入れて契約の申し込みをしました。この時点では仲介業者曰く、一番手で申し込みを入れています。そのままAさんは融資も問題なく決まり、あとは契約を待つだけとなりました。

 

融資の方向性も確定に近いので、売主としても契約を遮る理由は何もありません。仲介会社も「契約日程を決めるので、いくつか都合の良い日程をください」ということで調整に動いてくれていました。

 

しかし、そこから契約の日取り案内がいつまでも来ません。融資の方針が出てから1週間待っても来ません。担当に売り側の仲介会社に確認をしてもらっても、「今調整中なのでお待ちください」の一点張りです。

 

金融機関からは、「契約の日取りはいつですか?」「決済の日取りはいつですか?」との問い合わせがAさんのもとに入ってきます。しかし、契約の案内は一向に来ません。

 

「ひょっとしたら、何か悪いことが起きているのでは?」

 

物件を気に入っていたAさんを漠然とした不安が襲い、何とか情報を取ろうと試みますが、売り側についている仲介会社は明らかにしてくれません。結局、売り側の仲介会社経由で他のお客で決まってしまったという報せが入りました。

 

一番手で申し込んだのに、向こうの都合で契約の案内が来なくて、契約できなかったAさんは、当然納得できません。どうしてそんなことになったのか、その理由は恐るべきものでした。

 

それは、売り側の業者が手数料を独り占めしたいがために、順番が遅かった自分のお客を優先して進めたというものです。

客を体良く「キープ」する悪質な不動産仲介会社が存在

仲介会社は、不動産仲介をした報酬として、契約者から最大で不動産価格の3%+6万円の報酬を受け取ることができます。もし、仲介会社が買主との仲介を成立させたら、3%+6万円です。売主との仲介を成立させたら、同じく3%+6万円です。自分の仲介で、買主・売主両方を斡旋したならば、6%+12万円の報酬がもらえます。

 

仲介手数料の取り方については業界用語で、分かれ・両手と呼びます。仲介業者1社で売主と買主両方をつないだならば、1つの会社に売主と買主がくっつくので両手取りになります。反対に、買主に1社、売主に別の1社だと各仲介会社から出ている仲介の線は1つとなります。1つの不動産取引に対し、業者が2つに分かれています(下記図表参照)。

 

[図表]仲介手数料の取り方(両手と分かれ)

 

業者としては、両手でも分かれでも1つの不動産取引という手間は変わらないので、どうせならば両手を取れた方が利益率は良くなるわけです。両手でも分かれでも、その物件の調査や資料作成、営業活動などの手間はほとんど同じです。むしろ、仲介会社が2つになるとやり取りの手間が発生するので、その分時間がかかってしまうかもしれません。

 

もっとも、仲介も常に両手を目指すわけではなく、1社での営業では時間がかかりそうな場合や、お客様の意向ですぐに買い主を捜してほしい場合などは、自社だけでなく他社に協力を依頼することもあるでしょう。

 

もしそうなった場合には、業界の矜持として、協力仲介業者のことを尊重しないといけません。営業協力を依頼しておきながら、自分の所にお客様が現れたら、協力業者を蔑ろにするというのでは、一般的なビジネス関係としても非常に上から目線で失礼なことです。

 

今回のAさんの事例では、残念ながらこれが起きてしまいました。Aさんからすでに契約の意思はいただいていたものの、その進行中に売り側の仲介に購入希望のお客様が来ました。そこで、自分のお客様が買えそうなのでそちらに売って、手数料の両手取りを狙ったのです。Aさんは、体よくキープの客として扱われてしまったのでした。

小林 大貴

株式会社泉和コーポレーション 代表コンサルタント

中央大学法学部卒業。大手不動産デベロッパー「住友不動産」総合職出身の不動産投資専門コンサルタント。住友不動産在籍時にはオフィスビル事業・マンション事業・戸建事業・建築管理事業・事業企画などを経験し、在社中に一棟RCを所有。2012年に独立し、「徹底してお客様一人ひとりと向き合うこと」を信条に、個人個人に最適な不動産コンサルティングを行っている。
2013年より不動産投資サイト№1の「不動産投資の楽待」にてコラムを執筆し、総アクセス数30万超を達成。2014年より東京・日本橋にオフィスを出店し、プロのデベロッパーで培った知識と経験を元に自らの投資家目線を合わせた提案を行っている。

著者紹介

連載不動産投資家が注意したい「契約〜引渡し段階」でのワナ

不動産投資で陥る55のワナ

不動産投資で陥る55のワナ

小林 大貴

総合法令出版

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