不動産ファンドのリスクとリターンを決定する2つの要因

前回は、信頼できるファンドの見分け方と、詐欺的ファンドの手口を説明しました。今回は、不動産ファンドのリスクとリターンを決定する2つの要因、「運用戦略」と「プロパティタイプ」について見ていきます。

不動産ファンドの代表的な5つの運用戦略とは?

投資にはリスクがつきものです。株式やリート、投資信託に比べればはるかに小さいとはいえ、不動産ファンドにもリスクは存在します。

 

確実に高利回りを出し続ける不動産ファンドを選ぶためには、「不動産ファンドにどのようなリスクがあるのか」についても十分に理解しておくことが必要となるでしょう。

 

まず最も基本的なことから述べると、不動産ファンドのリスクは、どのような運用戦略をとるのか、どのようなプロパティタイプを選ぶのかによって大きく異なることになります。

 

一般に不動産ファンドの運用戦略は、リスクとリターンの割合に応じて、①コア型、②コアプラス型、③バリューアッド型、④オポチュニスティック型の4つに分類されます(図表)。最もリスクが低い(リターンも低い)のは①コア型であり、その対極で最もリスクが高い(リターンも高い)のは④オポチュニスティック型になります。

 

コア型は、物件特定型ともいわれており、はじめからどの物件に投資するのかが確定しています。投資する側からいえば、事前に物件の詳細について検討して、自らある程度の投資判断を行うことが可能となります。それに対して、オポチュニスティック型では投資家が投資する段階では取得する物件が特定されていません。アセットマネージャーが投資された資金の中から、適宜、自らの判断で物件を購入していくことになるわけです。そのため、ファンドのパフォーマンスはアセットマネージャーの能力に大きく依存することになります。

 

【図表 運用戦略によるリスクの概念図】

出所:ARES『私募不動産ファンドガイドライン(2012)』をもとに作成
出所:ARES『私募不動産ファンドガイドライン(2012)』をもとに作成

プロパティのタイプごとにリスク要因は異なる

また、プロパティタイプとしては、①オフィスビル、②賃貸住宅、③商業施設、④ホテル、⑤物流施設、⑥ヘルスケア施設・シニア住宅、⑦複数の種類の混合型が考えられます(さらに今後は、病院などのアセットもファンドの投資対象となるでしょう)。

 

このうち、①と②はロケーションと建物スペックが、ファンドの収益力にとって最も重要な意味を持つことになります。たとえば、オフィスビルにしてもマンションにしても、都心の一等地などの好立地にあり、なおかつ建物のデザイン、設備等のクオリティが申し分なければ、基本的には安定した収益を、比較的高い利回りで得ることができるはずです。

 

このように①オフィスビルと②賃貸住宅は、場所と価格さえ適切に判断することができれば、リスクを限りなく低減することが可能となるでしょう。それに対して、③から⑥はオペレーショナルアセットと呼ばれており、オペレーター(運営者)の能力によりパフォーマンスが大きく変わってきます。

 

たとえば、③商業施設であれば、イオンのようなブランド力のある大手の業者が運営している場合には、そうでない場合に比べてより多くのテナントを好条件で獲得できることが期待できます。

 

また、ホテルであれば、運営主体がヒルトンのような世界的なホテルグループなのか、それとも名のない街場のホテルなのかによって稼働率は大きく変わってきます。

 

最後の⑦は、組み合わせるプロパティのタイプによってリスクは変わります。①と②を含む場合にはロケーションと建物スペックが、③から⑥を含むのであればオペレーターの能力が大きなリスク要因となるでしょう。

本連載は、2016年3月28日刊行の書籍『ローリスクで年利7% 1万円から始める不動産ファンド投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。本書に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本書の内容は著者の個人的な見解を解説したものであり、著者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本書の情報を利用した結果による損害、損失についても、出版社、著者並びに本書制作関係者は一切の責任を負いません。投資のご判断はご自身の責任でお願いいたします。

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連載安定的に高利回りが狙える「不動産ファンド」の見極め方

LCパートナーズ 代表取締役・最高投資責任者(CIO)
ロジコム 取締役
LCレンディング 取締役 

University College London(ロンドン大学)卒業、建築経済・経営学修士(MSc)取得。一級建築士。不動産投資に10年以上携わった後、大手シンクタンクにて不動産投資分野における調査分析のコンサルティング業務を経験。その後、独立系不動産アセットマネジメント会社の最大手であったダヴィンチ・アドバイザーズにおいて、私募ファンドやリートの新規上場、また不動産関係企業投資などで中心的な役割を果たした。2009年にLCパートナーズを立ち上げ代表取締役兼最高投資責任者(CIO)に就任。

著者紹介

ローリスクで年利7% 1万円から始める不動産ファンド投資

ローリスクで年利7% 1万円から始める不動産ファンド投資

小山 努

幻冬舎メディアコンサルティング

投資で資産を増やさなければ、将来の見通しが立たない――。 一般のサラリーマンの間でも、企業や社会保障に頼らずに資産をつくるしかないと、「貯蓄から投資へ」向かう傾向が強まっています。 本書では、理想先な投資先とし…

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